もしもの時は…
帰りの車内、ディーノさんが好きな曲だろうか?
英語ではない……おそらくイタリア語の耳
障りのよい曲が心地いい。
通り過ぎていく朝の並盛と、つい最近まで私も
そこにいたであろう日常を懐かしく眺めながら
ふと礼がまだだったと思い出し、慌てて頭を下げる。
いいよと彼は照れくさそうに笑った。
「俺もランボの様子が気になってたからな」
「かわいい寝顔でしたね。目を覚まして本当によかったです」
ランボ君が目を覚まさなかったら、私はおそらく一生自分を許せない。
あんな幼い子供を戦わせることに力づくでも反対しなかった自分に。
それに……考えなかったわけではないが。
チラッとディーノさんを見れば視線があった。
私が気づかぬうちによほど思いつめたような顔をしていたのだろう。
何か言いたいことがあるかと問われ、静かにうなづく。
「あっあの……こんなタイミングで
不謹慎なことは分かってます。
でも、これはディーノさんにしか言えないんです」
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彷徨いアリス