沈黙が流れた。
私の言葉を聞いた彼は一瞬だけ驚いたように目を見開いたが
すぐに話題を切るように強引に視線をそらし、フロントガラスに集中させた。
車内音楽とクーラーの風音、時折カーブや信号で感じる車体の揺れまで
なんでこんな話題をふったんだと責め立てるように感じる。
気まずすぎて、だんだんと助手席に縮こまっていく私。
次の信号で停止した際にチラッと視線があった。
いつのまにか、ものすごく縮こまって腕を抱えていた私に気づき
無言を貫いていた青年は慌てて叫んだ。
「すっすまん‼――怒ったわけじゃなくて、その……
オレ……それについては考えないようにしてたんだ」
なんていうか現実逃避だなと恥ずかしそうに笑うディーノさんに
不謹慎なことを言ったから呆れたり怒っているのか不安だったので
少しだけホッとした。
「だからその話題がふられて、その……どう答えれば分からなかったんだ。
イタリア人だけど、オレはそんなに女の子に気のきいた言葉を
かけたりとかできないし……それに…」
「…それに?」
言っていいのか悩むような顔でチラッと青年はコチラをうかがったが
意を決して、少しだけ気まずいのか視線をそらしながら呟いた。
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彷徨いアリス