「変なこと言って、傷つけたらどうしようと思った」
私の全細胞がキュンとする。美青年の憂い顔と密室車内ドライブの
スチルを脳内にパシャパシャ連続撮影して収めつつも
一秒で妄想をおさえ、まじめな顔を作り小さくうなずく。
「気を使ってくださり、うれしいです。
でも、それは私も同じでした。変なこと言って
悲しい気持ちにさせてしまったり、場合によっては
不愉快だったり、怒らせてしまったらどうしようと」
「っ…そんなこと、美緒に限ってあるわけないだろ?
――お前はオレが出会ってきた中でもトップに入るくらい
気ぃ使いだからな‼」
垂れた眉のままで二カッと励まそうと笑ってくれる青年に
私もつられて少しだけ小さく笑って見せた。
「私も…このことは考えないようにしてました。
でも、でもね……九代目の件とか見ましたよね?
――あんなことが平気でできるような人たち…」
もちろん、マフィア全員があんな風に超絶極悪人とは
ハッキリと断言することはできない。けれど、少なくとも
私が、ツナたちが
対峙した連中はそういう人たちだ。
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彷徨いアリス