「ごっごめん‼ハッ…急に肩に手を置いたのがセクハラだったか⁉
そっそれとも、やっぱりオレなんかまずいこと言った?」
女の子の涙になれていないような動揺ぶりで慌てる青年に
零れ落ちる涙を強引にぬぐいながら小さく頭を振る。
「そうじゃっ…ないんっです。わっわたし、ずっと……邪魔だって
この戦いを……ボロボロになる…みっ皆を黙ってみてるしか…できないっ
最悪な傍観者だって、私なんかいらないって思ってて…」
「なっ…いっいらないわけないだろ‼」
「うんっ。だから……いらなくないといってくれて嬉しかった」
ありがとうございますと涙を流したまま微笑めば
青年も少し照れたように薄く笑った。
ああ、彼がこんな風に優しくてよかった。
と同時になんて私はいやなやつなんだろう?
「ディーノさん、聞いてください。
ディーノさんだけにしか頼めないお願いがあるんです…。
もしも……大空戦でツナが負ければその時は私を」
私の言葉をゆっくりと
咀嚼するように、彼は黙ってしまった。無言が流れた後
ディーノはホテルに戻るまで何も言わなかったしその話題を蒸し返すこともなかった。
ただとても辛くて、苦しそうで、だけどこちらを気遣うような瞳に
私はホントにいやなお願いをしたんだと実感したし、彼も最終的にもし
もしもそうなった場合は私の願いを実行してくれるだろうなと
はっきりとイエスをもらったわけではないけど、なんとなく感じ取れた。
――だって、ディーノさんはとってもやさしい人だから。
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彷徨いアリス