バカボンではないけど「これでいいのだ」という言葉がおそらくしっくりくるはず。
私も日頃(ひごろ)の恐怖から解放されてマンセーマンセーで彼だって
私を視界に入れずにすむし、なんなら同じ空気も吸う必要も、あんな風に……。

あんな風に私のせいで犠牲(ぎせい)になるなんてことも、もうきっとない。

ぎゅっとLIN●のくま〈ブラウン〉のぬいぐるみを抱きしめて顔をうずめる。
痛いくらいに食い込んだ指先に、悲鳴をあげたのはぬいぐるみじゃなくて私の心。


………
……

あれから1週間くらいインフルエンザか何かということで学校側は休ませてくれたので
その間ゆっくりと今後の自分を見つめ直す機会が出来た。

希望の高校にチェックを入れる。近場で普通科の無難(ぶなん)な選択。
だけど、それで良かった。――いつだって私には平凡が似合う。
確かに乙女ゲームのような修羅場(しゅらば)も経験してみたい気持ちはあるけれど
ふと思い出すのはあの事件のことで、あんなのはもうこりごりだった。

そんなつかの間の日常が崩(くず)されたのは何気ない清々(すがすが)しい朝の出来事だった。
ベルを鳴らした来訪者(らいほうしゃ)に、警戒(けいかい)せずにドアを開けたのは一生の後悔。



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彷徨いアリス