「お……アレは雲雀か?」

雲雀らしき人影が遠くから歩いてくる。それに気づいた目の前で観察していた美緒は
ふと視線をあげて、少年と目が合うと血の気の引いた顔で来た道を逆走(ぎゃくそう)しだした。

……が、いかんせん足が遅(おそ)すぎて少年の大股(おおまた)の早歩きに追いつかれて
丸みを帯びた腕をつかまれ、路地に引きずり込まれる。

リボーンはそれにニヒルな笑みを浮かべると、てくてく後をついていった。

【美緒 視点】

ど、どうしよう。――アレから避けることに成功していたのに
まさか油断(ゆだん)した途端、捕まるなんて。 気まずくてそらしていた視線を
少年の顔色をうかがうような表情で見上げると、案の定(じょう)不機嫌そうな顔で見下ろしていたので息をのんだ。

「君……わざと逃げたでしょ?」

もちろんそうなのだが、そうですなんて言えばかみ殺されるよね〜と心の中では発狂して転げ回る。
青ざめた顔で、視線はあらぬ方向に泳ぎながらどうにか逃げることに意識を集中させる。

路地裏につれてこられたかと思えば、いつかのように壁ドンをされ
後ろはコンクリ、前は雲雀と退路(たいろ)を失われつつ 何とか空いた片側から逃げようと機会を伺(うかが)っていると
その横にも手をつかれて完全に包囲(ほうい)されてしまった。

「ねぇ……答えて」

「あ〜、に……逃げたっていうわけでは「逃げたよね?」……はい」

ノンスピリチュアリストの私でも分かるくらい殺気(さっき)という名のオーラが見える気がする。
そんな彼に問い詰められれば、もちろんYES(イエス)としか言えないわけで……。



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彷徨いアリス