「イタリアに行くことが苦痛というわけではないんです。
ただ、イタリアに行ったら今のこの平和な生活が
崩れてしまわないか心配で」
平凡な日常ですらも簡単に崩れてしまうのにと
八の字に眉を下げながら自嘲気味に笑えば
以外にも彼は否定してこなかった。
むしろその声色には軽く同情すらこもっている。
「僕がムカつく奴をかみ殺して回るのも
全部僕の意思だけど、でもそれを誰かに
やれと言われたら嫌だろうね。
君も自分の意思とは関係なく進む未来に
混乱する気持ちも分からなくもないよ」
ただ、と雲雀は続けた。
「並盛にいる間は、僕が君の安全くらいは
保証してあげてもいい」
だから君は僕の目の届く範囲で
生きていればいいんだと平然と言ってのけるので
赤くなった顔を見られないように
慌てて玄関のドアをあけて家に駆け込んだ。
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彷徨いアリス