しかし、これが功(こう)をそうしたのか。はたまた絡(から)まれてげんなりしたのか
もう一度軽く舌打ちをした雲雀さんは、私の方をちらっと見やった後
仕方がないと言った様子で、路地(ろじ)を後にした。

「あっ!!おい!!テメェ――女にまさかカツアゲでもしてねぇだろうな?」

「ちょっ……ちょっと獄寺(ごくでら)くん!?決めつけは良くないって」

そんな獄寺と呼ばれた銀髪の少年の言葉に、少しだけ意味ありげに雲雀は「まさか」と口にして一瞥(いちべつ)した。

こんな捨て台詞も忘れずに……。

「君……次逃げたらかみ殺すからね………ってうそぉ」

雲雀の言葉を反復するように紡(つむ)がれる美緒の言葉に、切れ長の美しい漆黒(しっこく)の瞳(ひとみ)を細めると
よく出来ましたとでも言うかのようにフッと念押(ねんお)しの笑みを浮かべてその場を後にする。

残された私たちはあまりにもいきなりの出来事と
そのバイオレンスな言葉とは似合わぬ仕草の気品さと色気に圧倒(あっとう)されながら
真っ赤な顔、困惑(こんわく)した顔、怒り顔、にこにこ顔と様々な表情でその後ろ姿を見送った。

それを遠くで見つめていたベビーフェイスなストーカーは遠ざかる雲雀の姿と
取り残された4人のあっけにとられたような様子に笑みを浮かべ面白くなってきたとばかりに
路地に取り残される少女へと歩みを進めた。



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彷徨いアリス