窓の外の景色が、まるで映画みたいで
しばらく時も忘れてうっとりと見つめていた。
その姿にディーノはクスッと小さく笑う。
しばらく車を走らせていると、男が車の速度を落としてきた。
ガタガタと小さな道に入り揺れる車体。
「あの、この車……」
不安になって訪ねるとそろそろ着くとにこやかに返された。
「ローマ支部ですか?」
「ああ」
車が曲がった先、小道を抜けて大通りから外れた
一軒の大きいけれど年季を感じる古い屋敷。
まるで貴族が住んでいた屋敷と言われても納得するくらい
何か出てきそうな荘厳な雰囲気はあるのに
どこか寂しさが勝つ屋敷。
高い塀に囲まれた重厚な石造りの建物の中に入り、口をぽかんとあけ
車窓ごしにぼうっと見ているとディーノに笑われた。
「なんか出そうで怖いだろ?俺もたまにしか来ないんだが
どうも寂しい屋敷だよな。――当時は活気があったのかもしれねぇが」
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彷徨いアリス