冷静に考えると、こんなただの少年が警察なわけはない。
いや、万に一つ……相手が中学生のため警察官の息子を
『同級生の方が聞き出しやすい』という理由で派遣はけん……まぁ、これも現実的ではないだろうが……。

それ以外にも本当であればもっと気になる部分はあるだろうと後で振り返ると思うのだが
この時の私の脳内のうないには、あの時の光景がバレたら殺されるということで頭がいっぱいだった。

誰に消されるかまでは頭が回らないが、何かしらの口封じや社会的な制裁せいさいを受けるのではないだろうかと
普通の中学生女子よりは幾分いくぶんかんが良い少女も、あの血みどろの光景がフラッシュバックする度に
どんどん冷静な思考がかき乱され、さらに普段の卑屈ひくつでネガティブに輪をかけ
もはや思考は誰も思わぬ方向に転がり落ちはじめていた。

カタカタ震える私に、ツナと呼び捨てでいいと言った少年は
赤子あかごに向き直ると、まさか目の前の少女が知るわけないだろう。
――きっと勝手に連行した挙げ句あげく、知らない人物のそれこそ中二病臭ちゅうにびょうくさい名前を
いきなり切り出されて困惑こんわくしたんだろうと勘違かんちがいした様子でリボーンにめ寄っている。

「リボーン!!あんまりこの人を困らせるなよ!!」
「あ……あはは、えっと……うーん」

かわいた笑いがもれる。その間も背筋せすじに冷や汗は伝うし目はザバザバ泳ぎまくりで
完全に誰が見ても痴漢ちかんかストーカーで捕まった不審者ふしんしゃみたいに
居たたまれない様子で身体を丸くしてシートに深くしずみこむ少女。

骸の名前を出した瞬間から銀髪の獄寺と名乗った少年はふりがなみつけ
空気を読めないのかその隣で先ほど獄寺に続き山本と名乗った少年に至ってはもう
眩しいくらいの笑顔を浮かべてこちらをうかがっていたので、目眩めまいがした。



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彷徨いアリス