もはや脳が追い付けない程の赤ん坊の奇妙な言動(げんどう)など目に入っていなかった。
このままここまで引っ張っておきながら、百パーこいつ嘘(うそ)をついているだろと思われるかも知れないけれど
一か八かで知らないと誤魔化(ごまか)して逃(に)げ出そうか、と思い付きハッと青ざめた顔で見上げると
ツナの優しそうな瞳にぶつかって、心臓がドキリと跳(は)ねた。

その瞬間、脳内で冷静(れいせい)な声でダメだという声が聞こえた気がした。
と同時に思い出したのは先日の正一(しょういち)の言葉。

変な赤ん坊に出会うと奇妙な予言じみた爆弾(ばくだん)発言を投げつけた後
矢継(やつぎ)ぎ早(ばや)で言った言葉が頭に響いた。

『ちゃんと向き合って欲しい』


そう告げた時の目は確かに真剣だった。
それに、今まさに目の前にいる赤ん坊は正一の言葉どうりじゃないか。

美緒はおもむろにリボーンを見やる。
そんな少女の様子にリボーンの横で必死に否定(ひてい)していたツナも
まさか、と緊張(きんちょう)した様子で二人を見比べた。

リボーンの不敵な笑みが大きな二重(ふたえ)の瞳にうつる。
雲雀とは違(ちが)った黒曜(こくよう)の瞳に射抜(いぬ)かれながら
少女はリボーンを見据(みす)えて覚悟(かくご)を決めて喉(のど)から絞(しぼ)り出すように答えた。

「私が知ってることは教えます。
しかし、その前にあなた達のことを教えて欲しいです」

震える声でなんとか言い終えた私に
みんなの視線はさきほどまでの温かい空気を一変させ
どこか信じられないと恐怖と緊張に歪(ゆが)んでいたのが苦しかった。



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彷徨いアリス