まるで雲雀さんのような立場になったな、と自嘲気味(じちょうぎみ)な笑みを浮かべる。

人から蔑(さげす)まれることはあっても、こんな恐怖や畏怖(いふ)の対象ということは珍しい。
沈黙(ちんもく)に耐え切れずにえっと、と言葉をおどけたように濁(にご)して
眉(まゆ)をさげ、いつものどこか困ったような顔を浮かべた。

警戒心(けいかいしん)を解(と)いてもらうように慌(あわ)てて付けたした言葉は
先ほどよりも嘘っぽくて……そんな自分に反吐(へど)が出そうだった。

「だって、あなた達がなんで連れて来たのかとか
どういう人達なのか、私はよく知らないから……」

本当は『私もよく分からないんです。――何か知ってるなら助けて欲しい』が言いたかったはずなのに
私の唇(くちびる)はいつものように、気を利(き)かそうと強引(ごういん)にどこか真実をちりばめつつも
本心ではない、本当に今このタイミングで質問するべきではない言葉に歪んでいたことに
言い終わった後に気づいて、またかと心の中で舌打ちをした。


いつものように自分が嫌(きら)いになるのを感じて
だんだん冷(さ)めていく感覚と、そんな現実に目眩(めまい)を覚えた。

………
……

「えっと……つまり、話を整理すると
あなた方はマ………マフィアということなんですか?」

リボーンくんは確かに乳幼児(にゅうようじ)らしからぬ奇妙な出(い)で立ちで
それこそ天才を通り越して不気味なほど(中に誰か乗り移ったんじゃないかというくらい)
ハッキリとした口調(くちょう)で何度も私の言葉に肯定(こうてい)して頷(うなづ)く。

「すいません。突然こんなことを言われても困りますよね……」

慌てて弁明(べんめい)するかのように言葉を紡(つむ)ぐツナの必死のフォローもだんだん遠くに聞こえる。
当初(とうしょ)はなんの冗談(じょうだん)だ、私をからかっている?と馬鹿(ばか)らしい気持ちでいっぱいだったが
赤ん坊の奇妙な言動、最近起こった他校生狩(たこうせいが)りやあの黒曜ランドの一件など
確かによく考えると、常識を越えた何かこう大きな力が動いているようでならない。



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彷徨いアリス