翌朝、昨日のことが頭を離れずにノイローゼ気味になりながらも学校へ登校した。
今日はいつもの遅刻(ちこく)ではなくむしろ早すぎるくらいの登校だったこともあり
雲雀さんとの遭遇(そうぐう)イベントもなく、べつの意味で憂鬱(ゆううつ)な気分でいっぱいだった。

ガラガラッと開けた教室にはまだ誰も来ていない。
小さく誰に言うでもない悪態(あくたい)をついて、明かりをつけるのも面倒なので
そのままいつもの自分の席について机につっぷした。

本当に、面倒だ。
世界で一番めんどくさいことを避けて生きてたい人種なのに……。
そもそも、どうやって家を出れば………まさか家出しろってこと?
いやいや、待て待てちょっとマテ茶!!――なんで私はあんな初めて会った
チャッキーみたいな(恐らく首もまだ座ってない時期なのに二足歩行して喋(しゃべ)り出す)赤ん坊を信じてるの?

「ホントに……全てがありえないよ」

ありえないなんてことはありえない!とか誰かが言ってたな、なんて薄(うす)ら笑いを浮かべるも
こんなイレギュラーすぎる状況にどう対応していいか分からずにうなだれる。
危ない……のかな。言われた言葉がリフレインする。

「うーん、誰かの家で泊まったことなんかあっち(アメリカ)に居た時
何度かヤン君の家に泊まったくらいしかないなぁ……」

それも小さい時だし、数年会ってないけどヤン君はもうだいぶ大きくなってるだろうし流石(さすが)に気まずい。
あ、ヤン君というのは中国人の友人だ。アメリカに居た時に友達になって以来ずっと交友がある私の数少ない友人の一人。
思い出に残っている彼の姿はまるで日本人形のように綺麗で可愛らしい容姿の美少年だ。
私の髪(かみ)よりサラサラの黒髪とスッと涼(すず)し気な切れ長の瞳でどこか雲雀さんをマイルドにした感じかも知れない。
同じアジア系がクラスで二人だけだったこともあって凄(すご)く仲良くしてたことを思い出した。



46(431)
→|back

彷徨いアリス