1コールが過ぎて流石に朝早くに失礼だったかと切ろうとした瞬間にコールはやんでなつかしい声が返ってきた。

『hey!!美緒チャン!?――ドウシタ?』

片言かたことの日本語で頑張がんばって話しかけてくる感じが可愛かわいいなぁとなごんだものの
久々に聞いた声が少し低く聞こえて焦った。
そっか、同学年だけどあっちの方が早生まれだし男子はそろそろ声変わりしてくる時期よね……。

《ここから先は英語で話してます》

「あっ、ヤン君久しぶり!!――急に朝早く電話してごめんね。
実は理由があって、しばらく家出したいんだけど……」

『え?』

ま、まぁいきなりサラッとこんなこと言われるとドン引きするよね〜。
案の定、電話先の声は動揺どうようしているようだった。

『ど、どうした?――まさかおじさんおばさんと大喧嘩おおげんかした?』

「うーん、まぁそんなところかなぁ。そんな感じでしばらく家を出たいんだけど
流石に行先いきさき告げずに出て警察沙汰けいさつざたになっても困るからさ。迷惑めいわくかも知れないけど
ヤン君の所に泊まるってことにしてもいいかな?」

電話先の声が一瞬やむ。
え、ちょっと待って超気まずい。絶対久々に電話して何言ってんだこいつって思われてるよね?
あわてて取り消そうとしたら、電話越しで小さくため息が聞こえてビクッとした。

『アイヤー……我也是个男人?(俺も男だけど?)』

電話先でまたため息交じりに独り言?のような中国語が聞こえてきたので
なんか愚痴ぐちってるな、と思いながらツッコむ。(こういう時はだいたい悪態あくたいついてる時だもん)

「それどういう意味〜?」

少し不機嫌かつさぐるような口調に焦ったのか慌ててあっちは話を誤魔化ごまかした。

『っ…まぁ、どうにか家主やぬしに聞いてみるね。而且我的无法置之不理(それに俺は君を放っておけない)
でも自分の家じゃないから、確実とは言えないけどね』

「あっ、うん。あの、そ…そのことなんだけど」




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彷徨いアリス