「き……聞いてたんですね!?――っていうか、なぜここに居るんですか?」

だって、ここ並中じゃない……(しかもめちゃくちゃ堂々と並中制服着てるよ)
ここの中学そこそこ金持ち多いしセキュリティ強めだと思うんだけど……。
いつかの少年のどこでも出入り自由という言葉がよぎってうなだれた。

「僕はどこでも行きたいところに行くよ。……それよりも…」

「へっ」

いつの間にジリジリと間合いをつめられていたのか、それとも彼の一歩の歩幅ほはばの方が私の後退こうたいより長かったのかは分からないが
気が付くと、ほとんど息が当たりそうな近さでじっとのぞき込まれていた。
少年は少しかがんで近くの机に手をつき、少女の考えを見かすような不敵な笑みを浮かべて見下ろす。

「君……今日はまだ逃げないんだね」

フッと瞳を細めて妖艶ようえんともとれる笑みをこぼす少年にパクパクと金魚のように
口を開けたまま少女は真っ赤な顔で単語にならないうなりをこぼした。
そんな美緒の様子に少しだけ雲雀は驚くと、またすぐに笑みを浮かべてまるで捕食者のようにさらに詰めよる。

「行くところがないならうちに来なよ」

一瞬思考が停止した。恐らく同年代とは思えないような色気とかこの一文があまりにもパワーワード過ぎて
初期のパソコンより処理が遅い頭が追い付かないせいかも知れないが、本当に人間は頭が真っ白になるんだということを学んだ私。

……what?コノ人ハ何ヲ言ッテイルノ?
焦り過ぎて脳内ですら片言になってしまう。滝行たきぎょうのように冷や汗がドバドバ出てくる。
体中の血液が顔に集中したんじゃないかってくらい熱く火照ほてるのが分かってさらに恥ずかしくなった。

!?



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彷徨いアリス