「いや……あのでも…め、迷惑ですし………」

と、言うのはバリバリ建前(たてまえ)で本音は行ったらどうなるか分からないという恐怖感が強い。
確かに年頃の彼氏でもない異性の家に行くという気恥(は)ずかしさとかもあるが
それよりも私の脳内(のうない)に浮かぶイメージは、丸焼きにされる子豚の図だ。

きっと彼のような人が住む家というのは、常に薄暗く稲光(いなびかり)が走る魔王の城みたいなところかも知れない。
オカルト大好きだけど、ビビりヘタレな私は行ったら帰れまテンを実践(じっせん)する勇気と行動力は皆無(かいむ)に等しい。
何かの生贄(いけにえ)か今日のワンコならぬ今日の晩飯になっちゃうかも!?と脅(おび)えていると
少女のコロコロ変わる表情を面白そうに見つめた少年が再度口を開く。

「群れてる草食動物は嫌いだけど……僕だって流石に小動物は襲(おそ)わないよ」
取って食うわけじゃないと続ける彼の言葉にポカーンとする。

え、小動物?なるほど、雲雀さん流の若干気を使った家畜(かちく)という言葉をマイルドにした感じか!と
一人で納得(なっとく)するも、家には誰もいないという彼の言葉に面くらう。

いやぁ〜、未成年が二人きりか〜〜〜!!逆にダメだと思うし外国ならアウトに近いぞーと
脳内で絶叫(ぜっきょう)して、静かに私は視線をそらして遠くを見つめた。
その少女の瞳は年をとったように濁(にご)りをましたのは言うまでもない。

「親御(おやご)さんがいらっしゃらないなら、逆に失礼ですよ〜」
HAHA☆と苦笑してみるも、自分の提案をことごとく否定してくる美緒に苛(いら)立ったのか
少し拗(す)ねたような呆(あき)れたような顔をして雲雀はため息をついた。


「じゃあ野宿(のじゅく)する?」

「うっ……それは………」

「君が外でうろつかれた方が、風紀が乱れるし何かあれば内定にも響くよ」

一瞬、お前は教育指導の先公かと脳内で突っ込むも、確かに未成年が外でフラフラなんてリスキーではあるのも事実。
深夜徘徊(はいかい)なんて事件、事故に巻き込まれやすいし万が一知り合いや先生に見つかるとまずい。
ちらっと視線をうつして、彼をうかがう。どうにか別のルートに分岐(ぶんき)できないか必死に頭を回転させた。



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彷徨いアリス