相変わらず、雲雀は先ほど美緒の意志をガン無視むしして購入した日用品が入ったふくろを抱えたまま
ズンズン進んでいく。その様子はさながら少女が名前を何度か呼ばなければ
全くの他人とすら取られるくらい無視して歩みを進めていた。

「君……うるさい」
「うっ、うるさいのは仕様なのですいません〜。で、でもホントに
日用品とかそういうのは家から持ってきますから!!いや、なければむしろダッシュで買いに行きますから!!」

だから、と何度目かになる遠慮えんりょと言う名のめてくださいサインを出していると
彼はいきなりクルッと向き合い、まるで子供に説教するかのように見下ろした。

「君、本当にうるさい。――だまらせるよ?」

小さく息をのんだ。すごいね、彼クラスになれば平民へいみんは一言で口を閉ざすね。
私は残像になるほど震えながら、首がもげる勢いで冷や汗を滝のように流し分かりましたとうなずいた。

ふぅとため息をつきながら視線を横に移すとショーウィンドウに私達が反射していた。
静かになった少女のために少しだけ雲雀は意識して速度を落とし、さきほどの他人の距離ではなく
少しだけ近い距離を保ったまま、歩みを進める。
美緒はそれに気づくことはなかったが、少しだけ友人かそれ以上に間違われそうな距離感に照れた。

心臓がバクバクうるさい。そもそもあまり同性どころか異性と接触せっしょくしないし
相手がいつも恐怖している雲雀だと思うと余計に頬が赤くなる。
チラッとショーウィンドウに写る姿を何度も確認しては、頬を染めた。



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彷徨いアリス