「まぁ、その辺にしときや。――けどお嬢(じょう)ちゃん。
ちょっとおじさん腕(うで)が痛むわぁ〜」

「なっなんだと!!おい、ワレ責任取れんのか!?」

「せ、責任!?」

慌てふためいて視線を泳がせる少女を、値踏(ねぶ)みするように中年男性は眺めた。
ふと少女も先ほどから妙な視線に気づき、男を見上げて少し困惑して眉を下げた。
なめ回すような粘(ねば)っこい視線にうろたえながら、少女は口角(こうかく)を引きつらせながらも立ち上がって頭を下げた。

「こちらの不注意で……申し訳…ないです」

そうは言ったものの、だんだんとそういえば彼らがまるでわざとぶつかってきたかのような動きを思い出した。
こんな広い道で、なぜわざわざこちら側から通ったんだろう?

そう考えていると有無を言わさずに中年男性に肩に腕を回された。
え、待って…怪我したはずの腕じゃね?今そこさすってなかった?と思ったのもつかの間
ぐいっと方向転換させられると近くの路地の方に誘導(ゆうどう)していく。

開いた口が塞(ふさ)がらない。どうしようどうしようと必死にプチパニックの中で思考を巡らせる。
何とか逃げようと雲雀さんの方を振り返ろうとするも真後ろにもう一人がピタッとくっつき、視界を遮(さえぎ)られた。

「あっあの……私…」

サーッと青ざめ、涙目になる少女に男性がにやついた顔を近づけて囁(ささや)く。

「お嬢ちゃんも怪我したかも知れないからなぁ。あっちでちゃんと確認しようや」

あ、優しい……ってなわけあるか!どう考えてもセクハラまがいな臭いがすごいんだけど。
どうにか抵抗して足で踏ん張ってその場から動かないように粘るも
男の力に勝てずに、ズズズッと半ば強制的に引きずられながら進んでいく。



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彷徨いアリス