しかも、彼は確か私とほぼ年が近い中学生よね?
並んでみると、かなり大人と子どものようにふつり合いだった。
私がチビ過ぎてだいぶ見上げる形となっているし、だいぶ首も痛い。
何の
因果か少し前から、こうしてカレと出くわす機会が増えてる気がした。
最初は、好かれてるのかしら……とボケていたものの、こうなってくると……誰かにこの子、私の暗殺依頼されたんじゃないのか恐怖というしか感じない。
彼の人を拒絶しまくる態度と鋭い視線も相まって、私の暗殺説は濃厚になる一方だ。
ゴルゴ先輩の言葉を借りて、いいかげん……毎度気配を殺して俺の後ろに立つなって言ってやりたい。
しかし……それを言ったら、トンファーが飛んでくるから
黙っていよう。
じりじりと後ろに下がると、ゴツっとした何かにぶつかった。
これは……コンクリート……だと!?
あっ……ありのままを話すぜ………コンクリに
退路を
断たれちまったよ!!
Twitterで回ってきた西野カナのコラ画像よりも、ふるえながら涙目で
斜め後ろのコンクリをにらみつける。
不意に視界が暗くなった。
世界が暗黒に包まれたのか……とボケたが、すぐに何かに太陽光をさえぎられただけだと気づく。
「え……?」
我ながら
呆けた声を出しつつ、ゆっくりと視線をあげると、何を考えているか分からない無表情が思いのほか近くて………。
「うひょっ!!」
色気のない奇妙な声をあげた珍獣は、コイツ何がしたいんだと汗を滝のように流しながら見つめる。
眉を八の字に寄せて、目をザバザバ泳がせて状況をどうにか整理してみた。
これは……壁ドン!?
世の女の子の
憧れであろう
肘をついた壁ドン状態なのだと気づき、ぶわっと顔に熱があつまった。
思わず生きてるぜとばかりに普段より激しさを増したアグレッシブな
鼓動と、あらぬラブチックな光景を想像して振り
払うように頭を振った。
さっきよりもうるさくなった鼓動は、どちらかというとパニックに近い。ラブよりホラーストーリーは突然に……な予感しかしない。
赤くなったり、時々青くなる私の姿が雲雀のキリッとした瞳にうつってなんとも
滑稽だった。
後ろのコンクリがどうか壊れてくれと願いながら右手ではしきりにグーパンしつつ
震えまくり視線を泳がせていた私を見かねたのか彼がゆっくりと後ろに下がった。
フンッと鼻で笑われながら、助かったぁ……とここぞとばかりに神様を
褒めちぎっていると……神はさらに試練をお与えになる。
「君はいつも
遅刻か、欠席が多いみたいだね。――僕が直接迎えに行った方が良いのかい?」
私は思った。そう……一瞬、弱者という立場を忘れて「こいつ何言ってるんだよ」と………。
しかし、彼の不敵な笑みに次の瞬間にはやられながら、圧倒的弱者を実感させられる。
とりあえず、
頸椎を痛めそうなほど大丈夫ですと、縦にヘドバンしまくってその場を後にした。
あの時の私は気づかなかった。――私に向けた鋭い視線の正体と雲雀さんの何かにイラつくような舌打ちに……。
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彷徨いアリス