その様子に、またチッと少女が無意識に舌打ちする。
そんな少女の珍しく苛立ちを浮かべるような姿を、面白そうに雲雀は見下ろした。

「………君もそんな顔が出来るんだね」


ショーウィンドウに写った自分の顔が怒りにゆがんでいるのに気づいて苦笑した。

「助けてくれて…ありがとうございます」

雲雀を見上げると、彼は少し伺うようにこちらを見下ろしていた。
その姿に何も言えずに、力なく笑って俯く。

フーッと息をはいて、怒りを押さえるように自分に言い聞かせてこれ以上何か言わないようにくちびるを噛みしめた。

こういう時はどういう顔をすればいいんだろうか。とにかく気まずくて顔をあげられない。
噛んだ唇が青くなって震え、普段おしゃべりな自分がどうやって言葉を出せばいいか分からなくて怖かった。
それが怒りという名のアドレナリンのせいなのか、彼にこんな感情的な姿を見せた羞恥心からかは分からない。

しばらく二人で黙り込んでいたが、彼がきたとでもいうように無言のまま歩き出したので
それにだまってついていくことにした。――先ほどとは違う意味で足取りが重たい。

そのまま商店街を抜けて、恐らく雲雀さんの家だろう場所に黙って向かいながら
ぼんやりと、このままでいいのかなと諦めと後悔の入り交じったような感覚が心の中でうず巻いた。
やっぱり今更だけど、家に帰りますって言おうかな。
いくらリボーン君のおすみ付きだと言っても、ほとんど他人に近い異性の家に
親もいない中泊まるなんて、ちょっとダメだろう。

ちらっと後ろ姿を見上げると、雲雀さんは脇目わきめも振らずに(なんならこちらの様子を一切確認することなく)
ガンガン進んで行くのに目眩めまいを覚えた。

ああ、言いづらい。――さっきまでの勇気はどうした自分!!



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彷徨いアリス