「わぁ……!?」

目の前の光景はまるでそう、4Kのハイビジョン動画を家電量販店の大型テレビで見た時の衝撃(しょうげき)に似てる。
とにかく人間っていうのは、あまりにも驚きすぎると言葉がそれ以上出てこない生き物だなと思い知った。
視覚から入る情報全てが私には大きすぎるくらいの衝撃だ。

まるで時代劇のセットがそのまま飛び出したかと思うほどの豪邸。
瞳から入った映像は彩度(さいど)は控(ひか)えめで儚(はかな)いが、私の根底(こんてい)にある日本人の部分と共鳴(きょうめい)してくるような力強さがあった。
この時ばかりは日本人に生まれて良かったと心が叫ぶような
とにかく全身を静かに震えさせるような感動のまま、これが普通と言わんばかりの雲雀さんと
信じられないと交互に見つめて、その度に新しい発見に驚かされる。

玄関(げんかん)へと続く砂利(じゃり)道を雲雀さんを追って恐る恐る続く。
確かこういうのを枯山水(かれさんすい)というんだっけ、とぼんやり思いながら
遅れないように歩きやすい、質の良さそうな加工された砂利の上を滑るように進んで行く。

静寂(せいじゃく)の中に奥ゆかしさ溢(あふ)れる詫(わ)び寂(さ)び、敷石(しきいし)に使われている白い砂利が太陽の光を浴びてキラキラ反射し
池には色鮮(あざ)やかな鯉(こい)が素晴らしい腹の模様を見せて悠々(ゆうゆう)と泳いでいる。
横にはちょうど目線よりやや低い、一見粗雑(そざつ)に放置された大岩のようにも見えるが
微妙な配置で神秘的な雰囲気を醸(かも)し出している組石。さらにあたりを見渡すと昔は灯りがともされたのだろうかと
想像をかき立てられるような石灯籠(とうろう)に圧倒させられた。

日本人なら誰もが思わず息をのむような、けれどどこか懐かしさを覚えるような景観に胸がぎゅっとなる。
小さく縮こまりキョロキョロする自分はなんてこの場に不釣り合いなんだろうかと思い知らされる。

「本当に……こんなに素敵な景色初めて見たかも」

「そう?…少し大げさだけど、喜んでくれてるなら良かった。――しばらく楽しむと良いよ」

え、しばらく?とツッコもうとしたが、綺麗という事で圧倒させられすぎて思考が追いつかなかった。
なんだかツッコむ気も失せるだけでなく、このままここで朽(く)ちて死にたいとすら思えてくる。



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彷徨いアリス