「笑わない……多分」

多分だと困るなぁ、さらに心えぐられるなぁと苦笑するも
ぽつりぽつりとあまり言わない本音を語り出した。
マゾっていう表現はあながち間違いではないけど、そのポジションで今後からまれるのも困ったから。

「笑顔でいれば人に好かれると思いませんか?」

ハンバーグをこねたまま視線を上げられずにかわいた笑いで誤魔化すも
少年が不思議そうになんで好かれたいの?とつぶやくのを無視して続ける。

「私ね、良いところないんです。なんて言うか…使えない子っていうか。
勉強もスポーツも出来ないし、器量もよくない。何かひいでた才能もない。
昔はすごく身体も弱くて、両親にいっぱい迷惑かけるような手間のかかる子でした。
後、ちょっぴりこんな私なのでいじめられたりも何度かあって………」

なるべく湿しめっぽくならないように、極めて明るい声を保ったままポツポツ語り出すも
自分以外の声がないシーンとした家なので、余計に気まずさを感じる。
それを振り払うように、強引に笑える方向に持っていこうと笑顔を崩さずに続けた。

「虐められるような対象に居た自分が嫌いで、自信もあんまりもてなくて
どうすれば人に迷惑かけないかなーとか好かれるかって考えた時に
笑顔って一番の武器かなーって思ったんです。
笑顔でいれば少なくとも、敵対されることはないでしょ?
本当は私だって、今日の昼間かなりイライラしてました……そこはちょっと反省かな。
でも私みたいな弱者はただ腰を低くしていた方が安全ですし
人からの印象もくずさないので、上手くいくような気がするんです♪」



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彷徨いアリス