「先に泊まる場所の
先約……いたんだね」
あらぁ、美形って静かに怒るとさらに怖ぇわといつもの癖で
どうでもいいような感想が駆け巡る私。
しかし、
凍てついた空気がすぐに現実に引き戻してくる。
ダッシュで逃げようとした私をこの空気感が許してくれない。
考えろ私!この場を切り抜ける言葉を!!
浮気現場に
突撃された
間男よろしく、
狼狽えながらしどろもどろになる。
笑顔は引きつり、空気は凍てつき、目は泳ぐばかり。
「あ〜、えっとですね。あの、これにはまた深い事情がありましてぇ…」
後から振り返って思う。ここですぐ本当のことを言えば良かった、と。
しかし何を思ったのかヘタレな私はなかなか事情を切り出せなかった。
実は先に先約があったんだけど、実はそれは口約束だけで泊まるつもりはなかった。
でも、泊まる場所は
某芸人的に言うとリアルガチで探していました、と。
ここですでに日本語がおかしいことが分かるねみんな。
ん、あれ、私の頭もすでにおかしい?ははっ、分かってる。うん、知ってた。
乾いた笑いでその場をやり過ごそうとする私に少年が低い声で
事情?と追い打ちをかけてくるので、リアルガチに泣きたくなった。
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彷徨いアリス