生まれたのは醜(みにく)いアヒルの子でどこまでも出来が悪い手のかかるような子供だったせいか
私が生まれてしばらく両親は喧嘩(けんか)が絶えず、どこか憔悴(しょうすい)しきっていた。

特別頭が良いわけでも、運動が出来るわけでもない。何かに秀(ひい)でた才能もない。
どこか冷めてて、ドキッと確信をつくようなことを言うかわいげが無くて
器量も良くない、手先も不器用とないないづくしの一人娘。
やっと生まれた子供がこんな子なら私なら悲鳴をあげて海に放り投げるかも
なんて……いつだったかぼんやり考えたことがあった。

そんな私でも、人並以上の幸せを与えてくれて平均以上に手間や愛情をかけてくれる親には感謝している。
普通に愛してもいる。でも時々ちょっぴり憎(にく)くてたまらない。
自分が病弱に生まれたことも、効果はほとんどなかったけどやりたくもなかった事をさせて
少しはマシな人間にさせようとしたり、逃げ出したくてたまらなくても逃げるなと言い続けたこととか。

逃げるのは甘えという言葉が深い傷跡(きずあと)を残している。
日本に居た頃も、アメリカに渡った時も馴染(なじ)めなくて虐(いじ)められても逃げ出せなかった。
逃げるのは甘えだし、世の中にはもっと苦しい人たちがいると言われたら何にも言い返せなくて。
だって私には両親こそが完璧な存在で、私の手本とすべき人達だったから。



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彷徨いアリス