ゆっくりとベッドから起き上がってスマホをポケットに突っ込みながら
昨日助けて貰(もら)ったのにお礼がまだだったとか、泊めてくれることに感謝の言葉を言わなきゃ……と
なかば義務(ぎむ)的かつ律儀(りちぎ)な自分が急かすまま、気だるく部屋を出る。

………
……

「あっ雲雀さん。ここに居たんだ」

独り言のように呟いたが少年にも聞こえていたのか
読書をしていた彼は本を置いて顔をあげ、こちらを確認するとまっすぐ向かってきた。

そのまっすぐな瞳と大きな歩幅で向かってくる彼に
某ホラーゲームの青い鬼が向かってくるかの如く
なんだか少し逃げられない恐怖イベントみたいにビビり出すヘタレな私。
表面では小さく苦笑しながら平静(へいせい)を装(よそお)って、どうにか喉(のど)の奥からおはようございますと絞(しぼ)り出した。


暴(あば)れ回る心臓を落ち着かせるように胸に手をおいて深呼吸し
数歩手前でとまってこちらを伺(うかが)う彼に改めて泊めて貰った礼などを述べる。



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彷徨いアリス