てんとうむし 

一学期に入って新しいクラスにも馴染んできたある日、席替えをする事になった。

クラスの親睦を深めるとかで、方法はくじ引き形式。

結果がどうなるか見えねぇし、不安になるやつとわくわくするやつとで別れてた。
誰と近くなるかとか、一番前は嫌だとか。

俺も一番前は避けたい所だな。
今は出席番号順のせいで真ん中らへんの席だから、できれば一番後ろが良いんだよなぁ。

後ろなら授業中バレずにお菓子食えるもんね。

とはいえ匂いのどぎついモンとか音の出るモンは即バレするから、食えるお菓子は限られてるけど。

一番後ろの席なら教卓から見えにくいし、周りのやつらにもバレにくい。
なんてったって俺のステルス菓子食いは天才的だからな!

くじ引きの順番は特に決めてないから、来たもん順、つまり早いもん順なんだと。
先生がくじを引きに来いと言った途端、一瞬で教卓周りが混み合った。

先に引いてもどうせ運だしな〜、少なくなってからぼちぼち引きに行くか。


「おーい仁王」


後ろらへんの席で、机に突っ伏して寝ていた仁王のところへ出向いた。

今はくじ引きの真っ最中だから、自由に席を立っても許される空気だ。


「おいって」


なかなか起きないのでグーで頭を小突くと、仁王はのろのろと顔を上げた。

寝起き満載の顔してんなよ。


「くじ引き行かねぇの?」

「なんじゃ、くじ引きって」

「がっつり寝すぎだろお前。今席替えのくじ引きやってんの」

「ほーん」


まるっきり興味なさそうな声で応えた仁王は、頭をぽりぽりかきながらあくびをした。
このような様子じゃ、こいつも一番後ろの席が良さそうだな。

教卓周りもだいぶ空いてきたし、そろそろ引きに行かねーと。


「ほら、引きに行こうぜ」

「俺の分も引いてきてくんしゃい」

「ええ〜。自分で引きに行けよ。」

「行きたいのは山々やが、くじ運悪いんじゃ。そこで割とくじ運の良さそうなお前さんに頼みたいと思ってのう」

「割とくじ運良さそうって」

「俺の運命はお前にゆだねるぜよ」

「つまり引きに行くのめんどいだけだろ?」

「ピヨ」


ぴよ、じゃねーよ。図星だろ。
まぁ別に良いんだけどな、くじ2枚取ってくるだけだし。

心優しい俺は教卓の上に置いてあったくじを2枚引いて、そのうちの1枚を仁王に手渡した。


「お前の嫌な席だったとしても、恨むなよ」

「安心せい、嫌な席になったらお前さんを呪うまでじゃ」

「恨むよりグレードアップしてる!」

-3-

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わらびもち

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