同人誌的な展開は同人誌の中でだけ 

慌ててさっきの失言を撤回しようとしたら、名前が至って真剣な面持ちで言った。


「じゃあ、公園ではできへんね」

「なん」

「私の家行こか?」


にこっと微笑んだ名前に心臓打ち付けられたみたいな衝撃を受けた。

それ、どういう意味かわかって言ってるんか?
同人誌で言うたら、そういう展開やで?


「…せやったら、俺ん家でもええけど」

「謙也ん家?あ、そっか!私の部屋同人誌だらけやからムードないか!」

「そ…そういうわけやない。いやでも、確かに落ち着かんかもしれん」

「ほとんどエロ本みたいなもんやからね。」

「やめ!とにかく俺ん家にしよか?……今日は誰もおらんから」

「いやや〜同人誌みたいなセリフ言うてからに〜」

「うっさいボケ!こ、今度はヘタレとは言わせへんっちゅーねん、覚悟しときや!」



と、順調に事が進むはずやったけど

家にはオトンもオカンも休日出勤しておらんかったけど、友達と遊びに行っとるはずの弟の翔太がめっちゃリビングでくつろいどったおかげで、同人誌みたいな展開にならんかった。


「…っちゅー話や。」

「へ〜?そないなことあったんか」


またまた昼休みに俺の話を聞いとった白石が、やれやれとトマジューを啜った。

同人誌みたいな展開にはならんかったものの、翔太に隠れて名前とハグはできたからええねんけど、なんかなぁ…


「ちゅうか、そのドージンシみたいな展開っちゅーんがようわからへんのやけど」

「わからんかったんかい。まぁ白石にわかりやすいように言うたら……エクスタシーな展開?」

「うわ!?自分らまだ中学生のくせに…」

「いやさっきのでちゃんと伝わったんかいな!」

「ニュアンスの違いでな。名前ちゃんにその気があったとしても、せめて高校上がってからにしぃや?」

「え、ほんまに伝わっとるんか…せやな、俺もこういうことは慎重にいきたい派やから」

「ああ。あんまセッカチなったあかんで?」

「せーやーかーら!俺はセッカチなんやのうてやる事なす事速いだけやっちゅーねん!」

「それをセッカチ〜言うんや。」


すかさず白石の肩をしばくと、逆ギレや〜言うて笑った。

セッカチ呼ばわりされるんは腹立つけど、こんな話聞いてくれるんはほんま、白石くらいや。
口に出すん恥ずかしいから言わんけど、感謝してる。

昼飯食べ終えて紙パックの青汁飲んどったら、白石が思い出したように笑った。


「せやけどほんまおもろいな〜」

「ん?なにがや?」

「親が休日出勤やて忘れとったんやろ?もっと前もって予定立てとかな紹介できへんやろ」

「…な、なん、どういうこっちゃ?」

「ん?まず名前ちゃんとこに挨拶する前に自分の親に紹介しょー思たんやろ?」

「ほら!ほらほら!やっぱり伝わってへんやないかいワレ!」

「え?」


話が一切噛み合っていなかったピュアな白石である。

同人誌みたいな展開は同人誌の中でだけ
end.

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わらびもち

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