手のひらに
濡れた髪の毛を乾かし終え、リビングへ向かうにつれ美味しそうな香りが漂ってきた。
この香りは……今夜はカレーか!
台所で鍋をかき回していたお母さんに何かする事はないか声をかけると、ほぼ出来上がっているのでスプーンとコップだけ出しておいて欲しいと頼まれた。
お母さんの作るカレーライスはガチで美味しい。野菜ゴロゴロ入ってるもんな!一週間連続で食べても飽きないよ!
棚の中から2人分のスプーンとコップを持ち出し机に並べた。
お父さんは帰りが遅いから、私とお母さんで先に食べてしまうことが多い。
机の上には既にサラダの盛り合わせが並んでいる。
新鮮なレタスと、星型のオクラと、真っ二つに切られた真っ赤なプチトマト。
トマトか〜、ジロちゃんの嫌いな
まさか夕飯でジロちゃんの事を思い出すなんて思っていなかった私は、しおしおと肩を落とした。
ただのキスだけの関係で、それ以外は友達と思ってきたのに。向こうだって私の事はキスしてくれる友達としか思ってないし。
ああそうか!ジロちゃんに彼女が出来たのなら、私とキスフレでいる必要なくなるのか!
彼女=本命だもんな、キスフレなんて居たら彼女が悲しむ!
よし決めた!キスフレやめよう!それがいい!もう何もかも手遅れだしな!ずっとキスするだけの関係で満足していた私が圧倒的に悪い!キスフレやめて普通の友達に戻……れるかどうかわからないけど、まぁ、はい!
いや〜それにしても、いつから好きになってたんだろうなジロちゃんのこと!
中1の時はただただキスすることが楽しかっただけで、それ以外は普通の友達って感情しかなかったはずなのに!
ん……?待てよ…キスする関係を誰かに求めること自体、やめたほうがいいのでは?
そうだ、もうやめようこんなこと。キスフレなんて奇妙な関係持つのはやめようよ!
亮にも激ダサって言われてるし、また今日みたいに約束破って相手を傷つけることもなくなるしな!
前までは単純にキスするのが好きでキスフレを作っていたが、今はもう、ジロちゃんとだから良かったんだな〜という確信を得てしまった。
よくよく考えたら、いつもジロちゃんと他の人比較してたな!
この人よりジロちゃんの方が気持ちいいとか。
気持ちいいけどやっぱりジロちゃんがしっくりくるとか。それはもう好き勝手に。
キスフレのみんなに直接会って、謝罪しよう。
やっぱり大事な人とするものだキスは。軽く見すぎた。できることならば務所で罪を償えればいいのだが、これを警察の人に言っても小首傾げられるだけだよな、ああ。
真っ当に生きようよ、もう、これからは。
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わらびもち