セピアってるファーストキス
─現在─
夜になると無断で名前の部屋に上がってくるようになった慈郎。
ぬくぬくベッドインしながら、宿題のため机に向かっていた名前に声をかけた。
「名前さ〜。明日の休み映画観に行かない?」
「んー、なんの?」
「新作のやつ。名前D作品好きでしょ?」
「え!ジロちゃん観に行ってくれるの!?」
D作品の新作映画と聞き、瞬く間に興味が噴き出した名前は宿題を放っぽり出しスマホを手に取った。
しばらく操作した後、映画の時刻画面を突き出した名前。
「明日だと9時からのが1番早いよ!」
「早〜。14時からのにしようと思ってたんだけど、そっちのがいい?」
「ううん、14時からでも全然!ジロちゃんと観に行けるなら!」
「じゃあ14時ね!映画始まる前にどっかでランチしよ!」
「いいねいいね、付き合って初めてのデートじゃん!大丈夫。映画で寝ちゃっても怒らないから!」
「寝ないよ〜!自信ないけど。」
「ないんかい!まぁでも大丈夫、私もこの映画3回観てるからそこまで興奮しないよ!」
「めっちゃ観てた〜!」
大好きなD映画は何度でも観に行きたい派の名前なので、明日で4回目になろうが一向に構わない。
せっかくだからデートっぽく現地集合、おしゃれ気合い入れる〜など2人してわくわくしていると、慈郎がふと思い出したように言った。
「そういえばD映画観てる時、寝てる俺にキスしてきたことあったよね。」
「え?…………それいつの話…?」
「えええ!?覚えてないのー!?俺にとってファーストキスだったのにー!」
「それは中1のときじゃ…?キスフレになり始めたときにしたやつ…」
慈郎は思った。これか〜、やった相手は覚えてないけどやられた相手は鮮明に覚えてるっていう。
名前が覚えていないことに大ショックを受けた慈郎だが、過去はどうあれ今の名前とのラブ生活があるからまぁいっか。と思い至った。
「…やっぱムカつくから罰としてキス攻撃!」
「うおっ!やめ、ちょっ…アッー!!」
実は言うと、慈郎にとってあのファーストキスは名前を意識し始めるキッカケとなっていた。
怒るのも無理ありませんなぁ!
end☆
-16-
*しおり *もくじ
ページを飛ばす(16/16)
わらびもち