同人誌的な展開は同人誌の中でだけ
「ほんまは無理言ったかなって後悔してた…謙也優しいから、断られへんかったんちゃうかって……ごめんね…」
名前は今にも泣きそうな顔で俺を見上げた。
せやねんな〜名前はこういうところあんねん、言うたんはええけど後々後悔するっちゅーやつ。
腐女子やて打ち明けてくれた時も後から後悔しとったなぁ…
俺はむしろ、名前のこと知れて嬉しかったから良かったんやけどな。
それにこれは俺が自分でそうしよう思ってやった事や。
まぁ白石の助けもちょっと借りてるけど、最終的に決めたんは自分。
ほんまに死ぬほど嫌な事やったら、いくら名前でも断ってる。
相手が財前っちゅーのは正直難易度高かったけど、財前は腐女子に理解のある子でほんまに良かった。
ええ後輩やで!口は悪いけども!
「そもそも、これは名前へのご褒美やで?」
「え…」
「なんでもやったるっちゅーたんは俺やし、名前がそない思い詰める事ちゃうんやで。せやから、さっきみたいに笑顔でおんのが正解とちゃう?」
「謙也……あ、ど、どうしよう…!」
「え?えっ、あれ?なん、どないした!?どっか具合でも」
突然名前が胸抑えて俯くもんやから、背中支えようとしたらガッて手首掴まれた。
訳わからんどうしようってなっとったら、ゆっくり名前が顔を上げたんやけど、めっちゃ赤いねん。ほっぺが。
「また惚れてもうたわ…謙也に…」
「なっ?」
「もうこれ以上好きになってもうたら、謙光とか、蔵謙推せんくなるやんか…」
「え、え…?」
「謙也のこと、BLカプで見られへん…」
「………」
いや。俺はそれで全然かまへんねんけどな…?
むしろそうなってくれた方が俺は嬉しいで!?
そらそうやろ、俺が求めてるカプは謙也×名前やねんから!
とりあえず、こういうことやんな?
俺の事が大好きすぎて、好きやったはずの男同士の仲良しこよしにさえジェラシー感じるっちゅー事。そやろ?
いやそれ普通に、願ってもないことやで…!?
せやけど俺はその喜びを顔には出せへん。
名前、嫉妬することあんまりあらへんもん!とことん妬かせたる!
「へ〜?今の今まで散々、謙也総受け〜とか言うとったのにか?」
「そやけど…今はそうでもないというか、その…いやや、攻めてもほしくない…!」
「ふ〜〜ん、そうなんか〜?さっきまで謙光見とったのにな?」
「そうや!その謙光を私のためにやってくれたやろ…?こんなことしてくれるの、謙也くらいやから」
名前はほっぺを赤く染めながら、掴んでた俺の手に指を絡ませてきた。
こ、これは…思わぬ大収穫やで白石…!
機嫌良くなったどころか、財前とコラボしただけで名前の好感度うなぎ登りて!
しかもめっちゃ積極的になってんのアホほど可愛いし、なんやこれ、俺に爆発でもせえっちゅーんか?
「名前、とりあえず甘味処から離れよか」
「うん!」
俺が歩き出すと、名前も後をついてきた。
いつまでも甘味処の前で留まっとったあかんからな。
手は絡み合っとるまんまやけど…これ、こ、恋人繋ぎってやつは、初めてちゃうか?
慣れへん手の繋ぎ方に緊張ながら平然を装いつつ、俺たちは近所の公園に立ち寄った。
ほんまは人目につかんとこで名前のことソッコー抱きしめたい気分やけど、我慢や。
俺は至って健全な中学生やで!
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わらびもち