朝露に濡れし袖
01
「苗字はもっと自分に自信を持つべきだ」
生徒会の資料の作成を手伝っていた時に浅野君が発した言葉が突拍子もなくて、ホッチキスでプリントを止めようとしていた手が緩む。机にバラバラと落ちてしまった。少しばかり悲しい。
五英傑が揃う中言われても、というか貴方の様な天才が目の前にいてそれを言うのかと、困惑していることが顔に出てないか気になった。
「わざわざE組の奴等に情けをかける必要なんてないんだぞ」
自信を持てというのは、自分の自己肯定感を上げることで他人を下に見るようになれと言いたいんだろうか。この学校の方針が私にはあまりしっくりこなかった。
彼らは事情はあれど学業を怠っただけで、自分はただ良い成績を残してこのクラスにいるだけ。見下されても仕方ないのかもしれないがあまりにも差別的要素が強い。
しかし、私には彼らを下卑にすることなどできない。この心情は良心か出たものではない。自分のエゴな訳で。
「うん、善処するね」
そう笑って見せるのも何度目か。浅野君はこちらから目を逸らすと作業に取り掛かる。とても綺麗な冊子が彼の手から作られていく。あれほど早く綺麗にはできないけれど、自分も頑張ろうとホッチキスを握りしめた。
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