双極
01
皆さんも疑問に思ったことがあると思います。通りすがりのカップルや夫婦を見ると、性格が真反対だったり、互いを罵り合いながらも生活してたり。なぜ、付き合ったのだろうかと疑問に思いませんでしたか。
僕、鶴町伏木蔵はスリルとサスペンスが大好きなんです。この学園内で、すっごくスリルのある恋仲が誕生しようとしています。
「小松田さ〜ん。まとめた書類が間違ってましたよ」
「ええ〜、確認したはずなんだけどなぁ…。ごめんね、名前ちゃん」
「こういうのは得意不得意です。私は小松田さんみたいに不法侵入を捕まえることができませんもの…ここでお力にならないとですので気にしないでください」
それはそれぞれの先生に宛てた書類。名前さんが気づかなければ間違った書類が先生方に届くところでした。
小松田さんはしょぼんと頭を垂れる。この会話をしているのは、へっぽこ事務員の小松田さんと、彼の後に入った優秀事務員名前さん。この二人は雰囲気が似ていて、二人の会話はいつものほほんとしている。…恋仲とは、この二人のことではありません。
名前さんの説明をしなければ。彼女は小松田さんの後に入った事務員。人柄も良く、要領も良い、顔も別嬪さんだと来客された方に褒められるほど良いんです。
ただ、一つ問題があるとしたら…
「ごきげんよう事務員の名前さん!今日の私は昨日より美しいと思いませんか⁈」
食堂で四年の平滝夜叉丸先輩に声をかけられた名前さん。普通の人ならまた始まったとばかりに怪訝な顔になると思うけれど、彼女は曇りのない笑顔でこう言うのだ。
「ええ。いつも綺麗だけれど、今日も素敵ですねぇ。羨ましい限りです」
そうだろうと言わんばかりにさらに自慢話に拍車をかけるが、嫌な顔せずニコニコと話を聞いて、同意し、褒める。
あるときは、6年の七松小平太先輩がアタックしたバレーボールが当たったことがあった。
「気は確かか!!名前さん!!」
「とても…強烈なアタックでした…。きっと、最強の、バレー選手に…」
「私が目指してるのは忍びだがな!!あっ!!!気を失った…」
ガクッという効果音と共に手に入っていた力が抜かれてだらんとした。名前さんは意識が朦朧とする中でも、七松先輩を褒めて気を失った。
そう、名前さんは、人に激甘なのだ。
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