落花流水
パーティ編成
「信殿は突っ走りすぎですよ。もう少し合わせていった方が効率よく倒せます」
「いってェ…このメンツで連携とかまず無理だろ」
魔物に突っ込んで行った信の怪我を魔法で治しながら小言を溢す。このメンバーは戦士の蒙恬、武闘家の王賁、魔導師の名、そして勇者の信である。
「王の命令だ。不本意だが仕方あるまい」
そう。王である嬴政から魔物討伐としての任務を任された選抜メンバー。我が強く個で動こうとするためこのように上手く連携が取れないでいる。
それでもここまで来て生きているのは実力をそれぞれが兼ね備えているためである。軽い怪我を簡単に治せば、身動きを取ろうとする信を止めていた手を離し解放した。
「俺や名の身にもなってみろよー。カバーするの大変なんだからな」
蒙恬は戦士でありながらも魔法を心得ており名だけでは補いきれない部分を補助に回ったりと器用に動く。彼女の大変さが分かってるからだろう、今のままの状態を続けていくことを快くは思っていないようだ。
「俺より先に王賁が斬りかかるのが気に入らねぇ」
「素早さは王賁殿のほうが上回っているので…」
睨みを効かせあう王賁と信を見てため息をこぼす。横に視線を移すと蒙恬と目が合う。肩をすくめてお手上げだとでも言いたそうだ。
「転職でもしましょうかねぇ」
現状に疲れたのか、名は現実逃避を始めた。ここから近くに神殿があるはずだ。
「へー。何になりたい?」
「スライム」
「なんでだよ」
思わずツッコミが入る。現レベルで魔導師としてのランクも高いというのにそれを手放して、剣を振れば倒せてしまうような魔物になりたいとは疲れで気でも狂ったのかと思ったほどだ。
「スライムになれば、作戦を無視して突っ込む信殿の怪我も治しません。防御力を上げる魔術をかけることを拒む王賁殿に悩まされる日々からも解放されます」
「「…」」
「かわいいスライムになっておいで。俺が抱っこして運んであげるから」
「一人で歩けます」
少しばかり名の虫の居所が悪かった。メンバーにとって名の魔法がなくなるのは死活問題。二人は黙り込んでしまう。
「怒ってる…よな」
「ふふっ。怒ってませんよ」
((その笑顔が怖い))
それからというもの信は作戦通りに動くようになったという。王賁も味方に有利に働く魔法をかけられることを受け入れるようになったという。
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