どうも弦一郎の兄です
真田夢
父親似の弟の弦一郎と
母親似の兄の俺
大人っぽいと言うより、むしろ老け顔の弦一郎。
大学生になったのに未だに中学生に間違われる程童顔の俺。
この間一緒に行ったスポーツ用品店では親子に間違えられた。
勿論、父親が弦一郎で息子が俺。
俺が童顔なのが悪かったのか、弦一郎が老け顔なのが悪かったのか、本気で悩んだ。
これでも、昔は弦一郎も可愛かったのだ。
昔と言ってもほんの3年前だ。
背だって俺より低くくて、結構照れ屋なところもあって、ウブで可愛かったのに、中学一年の夏休みから急に、本当に急に背がメキメキ伸びだして、顔だって見る見るうちに親父そっくりになって、今では俺と兄弟ですって言うより親父と兄弟ですって言った方がしっくり来るくらいだ。
この間なんてうっかり弦一郎を親父って呼んでしまった。
「父さんなら書斎だが」
と答えた弦一郎はやっぱりどこか抜けていると思う。
正直な話し弦一郎に「兄さん」と呼ばれると、どうにも違和感を覚えてしまう。
だって考えてもみて欲しい。
見た目40代でそこらの大人より大人の威厳たっぷりの親父そっくりの男が、俺を見下ろして言うのだ「兄さん」と。
あれ?いつの間にこんなおっさんの兄貴になったけ?
と一瞬考えても仕方がないだろう。
しかも最近は、戦国時代だか何だかの歴史にはまっているそうで、口調まで真似をしだしてしまい余計10代に見えなくなってしまった。
「うむ、たまらん味だな」とかよく使う
うむって何だよ。たまらん味って何だよ。
普通にここは「美味しい」って言えば良いだろうが。
まあ、何だかんだ言ったが、俺は弟が好きなんだ。
別に変な意味ではない。
母さんには優しいし、見た目はあんなんだけど、中身は相変わらず照れ屋でウブなんだ。
あの見た目で?とか思ったらちょっと気持ち悪いがな。
どうしようもないくらいお爺ちゃん子で、俺や親父なんかもちゃんと敬ってくれる。なかなか出来た弟だ。
とにかく、俺は弦一郎が好きなんだよ。
だから、あまりアイツをいじめてあげないで欲しいんだ。
幸村君。
よろしくたのむ。