写真で狙え!
写真で狙え!
氷帝学園中等部報道委員である私達には、どんなスクープも逃さないために1人につき1つずつインスタントカメラが手渡されている。
それは毎月発行される氷帝通信に使うためであり、委員のみんなにもカメラを手渡す時に説明をした。
そしてみんなのカメラを回収し現像してみれば、一枚不思議な写真が混ざっていた。
…これは?
私がその写真を見て頭に疑問符を浮かべていると、我が報道委員2年にしてテニス部準レギュラーである日吉若は言った。
「あ、それ俺が撮ったんですよ。よく撮れていると思いませんか?」
いや、確かによく撮れてはいる。よくこんな物を撮影できたものだと関心もする。
が、この写真を氷帝通信に使うことなど出来はしないのだ。
夕焼け空と立ち並ぶビルをバックにした空飛ぶ円盤の写真など…。
氷帝学園中等部と一切関係のないこの写真をどこに使えと?
ふと彼の方を見れば、その顔は酷く誇らしげだ。
「日吉君?あ−…」
「はい」
何か言わなければと口を開いたのはいいが、次に続く言葉が見つからず視線が宙をさまよわせた。
「この写真はクレマチスには使えないから、良ければ持って帰る」
私がそう訪ねれば、彼は途端に目を輝かせ「良いんですか?」と聞いてきた。
ああ、この子最初からこれが目的だったな。
「ええ、どうぞ」
「じゃあ、頂いて帰ります」
そう言った彼の顔は、にやけるのを必死に我慢しているのだろう。
なんだか変な顔になっていた。
そして去っていく彼の後ろ姿は心なしか嬉しそうだった。
そんな後ろ姿をみてしまえば、本当はテニス部のプライベート写真が欲しい。なんてことは到底言えそうにない。
ああ、私が頑張るしかないか。