インタビューで狙え!
インタビューで狙え!
「今回はこの企画で行きます」
そう言って机に広げたノートに書かれているのは今回の氷帝通信“クレマチス”の企画だ。
先ず1ページ目に、我が氷帝学園のキングと自ら豪語する彼のインタビューから始まり、今月のテーマである、いかにして学園生活を有意義に過ごすか、そのための場所の紹介をし、今学期のイベントを紹介。
最後のページはテニス部の活躍で締める。
と言うものだ。
正直、キングのインタビューはいらない気がするのだが、これをするのとしないのとでは随分と生徒達の反応が違う。
おまけに目立ちたがりの彼は、今年に入ってからもう何度も私の所に「名前が頼むならインタビューを受けてやってもいいんだぜ?」と妙に上から目線で言いにくるのだ。
頼んでもいないのに、受けてやってもいいなんて、変な事を言うものだと思う。
あの鬱陶しいのから解放されるのなら、と彼にインタビューさせてくれないかと頼めば「お前もようやく俺様の魅力に気づいたのか」とまたわけの分からない事を言っていた。
そして誰か彼にインタビューしにいかないかと報道委員のみんなに聞いてみたのだが、誰1人としてやりたがらない。
女の子達は恥ずかしくてインタビューなんて出来そうにないと言い、男の子達はまあ…似たり寄ったりの意見だ。
かと言って私は彼が大変苦手なので、出来ることなら近付きたくすらない。
そこで白羽の矢が立ったのはそう、我が氷帝学園中等部報道委員にしてテニス部準レギュラーである日吉若だ。
彼ならキングへの耐性もできているであろう。
そう信じて日吉君を指名すれば、凄く嫌そうな顔をした。
ああ、どうやら彼もキングが苦手らしい。
どうしょうかとしばらく考えていたが、結局どうにもならず日吉君と私の2人で行くことになった。
生徒会室に向かう道すがら、下剋上する相手は本当にキングで良かったのかと日吉君に問えば「俺は別に跡部さんのあの派手さを下剋上したいわけではなく、テニスが強い跡部さんを下剋上したいんです」と意外にも日吉君はちゃんと答えてくれた。
「それより、苗字さんはどうなんですか?」
質問の意味が分からず「何が?」と聞き返してみれば「跡部さんと付き合わないんですか?」と言われた。
なぜ私が奴とつき合わなければならないんだろう?
全く意味が分からなかったが「無理。私、あの人苦手なの」と答えておいた。
「…ああ。そうですか」と日吉君は顔に苦笑いを浮かべてそう言った。
「うん、あの派手なのは苦手だなあ。お付き合いするんなら滝君が良いな。ミステリアスな感じがたまらないよね。
後は茶道部の浜崎君とか、落ち着いた感じと清楚なのが良い。
日吉君もいいよね。なんだかんだで結構優しいし、可愛いと思う」
「……何、馬鹿なこと言ってるんですか。さっさと跡部さんの所に行きますよ」
そう言った日吉君の声はいつも通りで、でも私の先を歩き始めた彼の耳は凄く赤かった。
やばい、可愛いんですけど。
思わず顔をにやけさせれば、早くして下さいと言って振り向いた日吉君に気持ち悪い顔をしてますよ。と失礼なことを言われたが可愛さに免じて許してあげようと思った。