小悪魔な君
丸井夢
一カ所に集まり咲き乱れる彼岸花の赤い色がまるで炎のようだと思った。
9月も後半だと言うのにじっとりと汗ばむ程の熱気の中、それはわずかな熱を持っているようで、体が更に熱くなるのを感じた。
ああ、赤い。
気づけば日は沈み、当たりは茜色に染まっていた。
赤
朱
紅
アカ
あか
世界が、アタシが、赤色に染まる。
赤い色は嫌いだ。
「何ぼうっとしてるんだよぃ」
その声に反応して振り向けば、アタシの嫌いな赤色が視界に入り、思わず眉間にシワが寄った。
アタシは赤色が嫌いだ。
だからこいつも嫌いだ。
「君には関係ないでしょ」
私が冷たく突き放すようにそう言えば、そいつは「ま、そうなんだけどよ、気になるだろぃ?好きな奴のことは」と言って私に笑顔を浮かべた。
その人好きをする笑みと、甘い言葉で顔に熱が集まった。
その笑顔にドキドキして、その甘い言葉にクラクラして、赤い色を見る度にそれを思い出して、馬鹿な自分に泣きたくなる。
赤い色は平穏を望む私の心を波立たせる色だ。
「私は君が嫌いだ」
「ははは、名前ならそう言うと思ったぜぃ。ま、お前が好きとかは嘘だけどな」
そう言ってコイツはニヤリと笑った。
だから私は赤い色とコイツが嫌いなんだ。