ここ暫く、梅雨らしい日が続いている。 今日も、空を覆う雨雲からしとしとと雨が降っていた。 教室には、雨に打たれた若葉のものか、新緑の薄甘い香りが漂っている。 「―――先方には、土曜日の朝一番で伺うことになっているから、こちらを金曜日に発ってもらう事になる」 「そんなの聞いてねぇーし」 「……今言ったからな」 「金曜日は律の誕生日だから、俺ムリー!」 「……一年も金曜日から実習で不在だ」 「……えー!? そんなの聞いてねぇんだけど!!」 「……今、言ったからな」 一年の実習も二年の任務も、今朝の職員会議で決まったことだ。たまたま祓除依頼が複数入り、そのうちの一件を一年の実習に、別の一件を二年の任務に割り当てただけである。 どちらにせよ、五条がごねるのは分かり切っていた。 何故こうも自分の担当する生徒は問題児が多いのだろうか、夜蛾は『平常心、平常心』と自分に言い聞かせ、ダメ出しの一言を添えた。 「悟、これは決定事項だ」 「ひどくねー? よりにもよって律の誕生日だぜ? ビシッと決めるつもりだったのに、計画がおじゃんだよ!」 「ビシッって言ってもさぁ、所詮 “誕プレは俺” だろ? いい加減、賞味期限切れてんじゃねーの?」 「ふんっ、俺は常にフレッシュなんだよ」 「ブハッ! フレッシュ! 五条がフレッシュ! 似合わねー!」 「うるせーよ、硝子」 「まぁまぁ、でも、悟が高専に残っても、律ちゃんが居ないなら意味がないだろう?」 「…そーだけどー」 ただでさえ雨が降ると、教室か寮しか居場所がなくて憂鬱なのに、律の誕生日に任務だなんて踏んだり蹴ったりだ。道場で発散できなくもないが、する気も起きない。 サプライズのつもりだった為、彼女には週末のデートを切り出していない。しかし、だからこそ、このままで良いわけではない。期待されていたら申し訳ないし…というか、期待されていなかったら、それはそれでへこむのだが。 「俺、ちょっと律んとこ行ってくんねー」 「はいはい」 「行ってらー」 五条が一年の教室を覗くと、こちらも三名仲良く教室に残っていた。やはり雨が降ると行き場がないのは一年でも同じことのようだ。 「律―」 「…なに?」 折原は七海と灰原に「ちょっとごめん」と言いおいて、五条の元へとやって来た。その表情は眉根を寄せ、一見すると迷惑そうな表情をしている。しかし、それが照れ隠しであることを五条は知っている。それが証拠に、ちょっと甘い言葉を耳元で囁いてやれば、折原はいとも簡単に頬を染めて、ぐいぐいと教室からは見えない廊下の端まで五条を押しやるのだった。 「…で、なに?」 不機嫌そうな声で、でも照れの滲んだ表情で、そして手は五条の制服を掴んでいる。 「…オマエ、なんでそんなに可愛いのー?」 「……それ言うために来たの?」 「おっと、心の声が」 「いや、割と普段からダダ漏れだよね」 「そんなことより、今週末のこと聞いた?」 「……あー、うん」 「誕生日平日だけど、おめでとーくらいは直接言いたかったのに、ごめんな」 「ううん、実習と任務が重なったのは悟クンの所為じゃないないし」 「でも、ちゃんとデートに誘おうと思っててさ、土曜日はちょっと良いホテルも予約してたんだよねー」 「………」 お? と五条は僅かに片眉を上げた。 五条の言葉を受けて、折原は顔だけでなく、耳から首筋まで真っ赤になった。 期待はともかく、自分たちにとって律自身の16歳の誕生日が重要な日であることを、彼女はちゃんと自覚しているらしい。 「――だから、来週末仕切り直しってことで、それも確約できないのがツライとこだけどー」 「……うん」 「それに、そんな状態だから、ちゃんとしたホテルの予約は難しいかなーって。それでも、いい?」 「……う、うん。いいよ」 「………」 折原は伏せた瞼まで赤く染め上げて頷いた。 五条は我慢できずに折原をギュッと抱きしめると、その頭頂部に唇を落とした。 「はぁ――。俺の彼女、なんでこんなに可愛いかなー」 「……悟クン、フィルター掛け過ぎ」 「いいんだよ。フィルター掛けようが掛けまいが、俺にとってはオマエが一番可愛いの」 「……あっそ」 「はぁ――、好き過ぎて困るー! いや、困んねーけど!」 「……悟クン、予鈴鳴ったよ」 「ん――、もうちょっと」 「…お前ら、ホントに飽きないねぇ」 間近で担任の声がして、折原の肩がビクッと揺れた。 慌てて五条から離れようともがいたが、五条がガッチリ抱きかかえていたため、それは叶わなかった。 「飽きない」 「――まぁ、夜蛾先生に怒られるのはお前だしね」 平然と答える五条も五条だが、しれっと会話を続けるこの教師もやはりどうかしている。 しかし、夜蛾の名前を出され、その拳骨の痛さを思い出したのか一瞬五条の腕の力が緩んだ。その隙に折原は五条の腕から抜け出すと、自分の教室へと一目散に逃げ込んでしまった。 「はいはい、行った行った」 「……ちぇ、」 まぁ、いい。可愛い律も見られたし充電もできたし。金曜日は夜にでも電話を掛けるとしよう。 五条は来た時とは異なり、軽い足取りで自分の教室へと戻った。 「はぁ――」 それにしても今日の昼間は恥ずかしかった。 まさか抱き合っているところを担任に見られるとも思わなかったし、そのあと逃げ込んだ教室では、灰原には生温かい目で見られるし、七海には虫けらでも見るような蔑まれた目で見られた。 お願いだから、好意ダダ洩れの表情乗せたあの顔で迫られるあたしの身にもなって欲しい。けっこう大変だから。いくら見慣れた顔だと言ってもイケメンはイケメンだし。 「――律、そろそろ戻っておいでー」 「あ、」 家入の部屋を訪れているのを忘れて、うっかり思考の渦にのまれるところだった。 「……すみません」 「いや、いいけど。で、相談て?」 「……はい、…あの、……えっと、ですね…」 なんて相談したらいいんだろう。……というか、何を相談するべきなんだろうか。 折原がまたもや思考の渦にグルグルしだした時だった。家入がパチンと指を鳴らして宣った。 「……あー、初エッチ」 「――違っ! ……いえ、ち、違わなく、ない、です…」 「………」 家入は、人間ホントに恥ずかしいとここまで顔色赤くなるんだねーなどと思いながら、折原を見ていた。 「………硝子先輩、なんでぇ?」 「いや、夏油経由で聞いてるから、“律の16歳の誕プレは俺” ってヤツ」 折原は堪らず床に崩折れた。 「……あのバカ、何を吹聴してんの」 「…嫌ならちゃんと拒否しなよ?」 「……いえ! する気はあるんです! ――って、違ーう! いや、違わないんですけど!」 「………」 恥ずかしすぎる…、穴があったら入りたい。 折原はもはや、穴を掘らんばかりに、床に突っ伏していた。 「で、相談て?」 「……うっ、あの、失礼を承知でお聞きしますが、…硝子先輩って、ご経験おありですか?」 「まぁ、人並みに?」 人並みに? いや、人並みってなに? 人並みって。 そもそも経験のない折原には、人並みの基準が分からなかった。 「まぁ、そーだね、どこ行くか分かんないけど、自衛のためにも、一応ゴムは持って行った方がいいかな」 「……え、」 「だから、ゴム」 「………」 「五条がテンパって忘れてたら困るでしょうよ。それに、ラブホのゴムはイタズラされてる事があるから使わない方がいいし、洒落たホテルなんかに行ったらゴムなんか置いてないし」 「……あの、それって……」 「……コンビニで普通に売ってるよ」 「そのくらいは知ってます! じゃなくて、……箱むき出しじゃないですか! ……そ、それをレジに持って行くのは、ちょっと……」 「………」 家入は、人間ホントに狼狽えるとここまで顔色青くなるんだねーなどと思いながら、折原を見ていた。 「……あたしのストック分けてあげるよ」 「ありがとうございます! 硝子先輩! ―――って、なんで箱ごと…」 「いや、夏油経由で聞いてるから、“中坊の頃、親父さんに釘刺されてお預け食らった” ってヤツ」 復活しかけていた折原だったが、堪らず床に逆戻りとなった。 「……あのバカ、何を吹聴してんの」 「いやー、二年もお預け状態だった五条が一回で終わるとは思えないし」 「………」 えっ、そーなの? 男の子って、そういうもんなの? 初めてでも、そういうの有りなの? 折原はもう、赤くなったらいいのか青くなったらいいのか、わけの分からない状態に陥った。 ………いや、もう、考えるのはよそう。 考えたところでどうなるものでもないし。 だいたい、アレが普通の男子のわけがない。 そもそも、こういう場合の普通がどんなものか、折原には分からないのだから、考えても無駄であった。 しかし、 「それはともかく、なんで二箱なんですか」 「いや、あたし五条のサイズ知らないし」 「……あたしも知りませんよ!」 「ま、好きな方持って行きなよ」 好きな方をと言われ、折原は手の中の箱を見比べた。 特に数値の表記はないけど、MサイズとLサイズって一体何が違うの? いや、書いてあっても分からないけれども! 「……因みに、Mサイズは直径32から36ミリで、Lサイズが37から42ミリが適応サイズらしいよ」 「参考になりません!!」 そもそもいつ測んのそんなの! っていうか、ちょっと待って、間を取ったとしても直径36、5ミリってこと? え? そんなの入るの!? 折原は具体的に想像しそうになって、慌てて頭を振った。 分からない。分からない、けど、あの体格でMってことはない…のかも知れない。 いや、本当に分からないけど! 「……こちら、頂いて行きます」 折原は、Mサイズの箱を家入に返すと、手のひらに残った“オカモトゼロツーLサイズ6個入り”の箱を、固く握りしめた。 決戦は来週末の土曜日である。 いや、任務だの何だのが入らなればの話だが。 相変わらず、梅雨らしい日が続いていた。 今日も、空を覆う雨雲からしとしとと雨が降っている。 長く続く雨天のせいで、談話室にはジメっとした空気が漂っていた。 そんな中、幸いにも、更なる実習や任務が入ることもなく、その日が訪れた。 「あれ? 五条さん、私服なんか着て、お出かけですか?」 灰原がコーラを片手に談話室に入って来た。 その後ろには、文庫本を片手に持った七海が続いている。冷めた性格の割には付き合いのいい男である。 「これから律とデートなのさー」 ソファーに座っている五条は、ざっくりとしたサマーニットにジャケットを合わせ、ボトムはブラックデニムという出で立ちであった。 服装だけ見たらどこかのファッション雑誌に載っていそうな雰囲気だが、いつものラウンドフレームのサングラスが怪しさを添えていて、若干チャラい印象を与える仕上がりとなっている。 そして、こちらも付き合いのいいことに、向かいのソファーには夏油がいつもの制服姿で座っていた。 「へー、折原待ちってわけですね」 「そ、」 言葉を交わした流れなのか、灰原が隣のソファーに腰を下ろした。 次いで、一拍遅れて七海も腰を下ろす。 なぜ敢えて近くに座る? と思ったのかどうかは定かではないが、七海の眉間にシワが刻まれたのは事実であった。 「いいですねー。俺も彼女欲しいなぁ」 「いーだろー」 「マジ羨ましいですよ。高専って圧倒的に女子比率低いですもん」 「まぁ、こればっかりは焦っても仕方がないからね。そのうち出会いがあるさ」 「…めっちゃ余裕なこと言ってますけど、夏油さん、彼女いるんですか?」 「……いるように見えるかい?」 「………お、折原遅いですねー」 「灰原、後で稽古をつけてあげようか」 いい笑顔の夏油に対して、灰原の笑顔はややひきつり気味だ。 そして七海は、我関せずとばかりに本に視線を落としている。 「なんでみんな揃ってるの?」 本日のヒロイン登場である。 助かった! と、夏油から視線を引き剥がした灰原は、今度は折原に釘付けになった。 いつも自分を容赦なく投げ飛ばしている女子が、女の子になっている。 折原はオフホワイトのミニのワンピースにデニムのジャケットを羽織って、引き締まった形の良い脚を惜しげもなく晒し出していた。しかも、普段はしていない化粧までしている。 完全に女の子だ。いや、女子は女の子なんだけれども。 ―――バシッ! 完全に見とれていた灰原の後頭部に軽い衝撃が走った。 振り返ると、丸めた雑誌を手にした五条が立っていた。 「灰原見すぎ。――傑、後で灰原に稽古つけてやって」 「了解」 「…えーっ!」 五条は手にしていた雑誌を灰原に放り投げると、「じゃあ、後はよろしくー」と言って、折原を伴って談話室を後にした。 寮の入口で愛用の黒いショートブーツに履き替え、傘立てから長傘を手に取る。 折原の手を取り、彼女が靴に履き替えるのを支えてやるのも忘れない。 「うん、いつもの律も好きだけど、化粧してる律も可愛くていいね」 「…あ、ありがと」 ストレートな褒め言葉はいつもの事なのに、特別な日という自覚がある所為か、折原の頬がサッと赤らんだ。 五条は傘を差し掛けながら軽く屈むと、その頬に指先を滑らせる。 「あー、でもファンデはつけてないんだ?」 「…痒くなっちゃうから」 「うん、その方がいいな。ちゃんと律の匂いがする」 折原は更に頬を赤らめ、視線を泳がせた。 「…律、いい?」 「………」 さすがにここで「何が?」と聞くほど、折原も世間知らずではない。 一呼吸おいて顔を上げると、真っ直ぐに五条を見つめた。 五条の顔が近づくのに合わせて目蓋を閉じる。 息が触れたと思った直後、唇が重なって、直ぐに離れた。 さすがに “え、早っ!” と思って目を開くと、五条が少し頬を赤くしてバツの悪そうな顔をしていた。 「…寮の前だった」 「………」 そこはかとない気まずさが漂い、二人して無言で歩きだす。 まだ、デートは始まってもいなかった。 その後、気を取り直した五条は、街に出ると先ず折原をリバイバル映画にエスコートした。彼女の好きなアドベンチャーロマンスだ。折原は予想通りドキドキハラハラワクワクと、くるくる表情を変えて五条の目を楽しませてくれた。それから話題のパンケーキ専門店でティータイムを楽しんだり、ゲームセンターで一緒にUFOキャッチャーで遊んだり、久しぶりにデートらしいデートを満喫した。 そして今は、チェックインしたホテルのレストランで夕食を済ませ、部屋に戻るエレベーターの中である。折原には『ちゃんとしたホテルは難しいかも』と言ってあったが、ちょっと奮発してランクアップした事で無事予約することができたのだった。 それにしても、なんとなく指先だけを絡ませている状態だが、緊張しているのか折原の指先が冷たい。逆に自分は文字通り手に汗握る状態だ。いや、これも緊張を示す生理現象の一つなのだが、手汗って妙に恥ずかしく感じるのは何故だろう…。 五条がそんなことを考えているうちに、エレベーターが指定階で止まり扉が開いた。 部屋に向かう廊下には毛足の長い柔らかな絨毯が敷かれていて足音が立たない。その沈み込むような柔らかさを踏みしめ部屋に向かう。 五条はポケットから取り出したカードキーでドアを開けると、先に入るよう折原を促し、後ろ手にドアを閉めた。 何気ない行動のはずだった。しかし、ドアノブのラッチがカチャッと鳴り、その音に折原の肩が揺れたのを見た途端、五条は一気に血液が逆流するような感覚に襲われた。 (――ヤバい) と思う間もなく折原の肩を抱き寄せ振り向かせると、その頬を掴んで唇を合わせる。そして、驚いて半開きになっていたそこへ無遠慮に舌をねじ込み、逃げ惑う折原の舌に自分の舌を絡ませた。 「あっ」とか「んっ」とか、鼻に掛かった折原の声が色っぽくて煽られる。 (だからヤベぇって!) 後ずさる折原を壁際に追い詰め、その脚の間に膝を割り込ませ――― ―――ガツッ! 五条はなけなしの理性で壁に頭突きをすることで、自分の行動に待ったを掛けた。 「………」 「……ダセェ、…俺、どんだけがっついてんの」 「……凄い音したけど」 「いいんだよそんなの。……それより、オマエ怖かったんじゃない?」 「……いや、まぁ、ちょっと驚いたけど」 「はぁ――、取り合えず落ち着くから、ちょっと抱きしめさせて」 「…落ち着いちゃって、いいの?」 「落ち着いた方がいいの。つーか、勢いで訳も分からずにとか、俺が嫌なの」 そう言って折原を抱きしめると、額のひりつく痛みには気付かないふりをして、五条は深い深い溜息を吐いた。若干引き気味の腰が我ながら情けないが、取り合えず惨事は免れた、と思いたい。 「……お茶でも入れようか?」 「……あ、うん。熱いの飲みたいかも」 部屋に入って直ぐのドアの前で抱き合ったまま暫く時間が経ち、次の行動に移るタイミングを計りかねていた時だったので、五条はその提案に有難く乗ることにした。 抱きしめていた腕を解き、窓際のソファーへと移動する。 折原がカップにティーバッグを入れ、キャビネットの上にセットされていた電気ケトルから湯を注ぐ。五条はソファーに座り、その様子を眺めていた。 「はい、どうぞ」 「…サンキュ」 カップをテーブルに置くと、折原は五条の隣に腰を下ろした。 部屋には、フーっとお茶に息を吹きかける折原の息遣いと、自分のお茶を啜る音だけが聞こえている。 「……こうして並んでお茶してると、昔を思い出すね」 「……あー、そう言えば俺達、学校から帰って来ると稽古の前に先ずお茶とおやつだったからなー」 「ふふ、で、稽古が終わっても先ずお茶とおやつなんだよね。もうすぐお夕飯なのにって、お義母さんに呆れられて」 「――稽古付けてた親父も一緒に食ってたから、お袋も怒るに怒れなくてな」 「でも、糖分の取り過ぎだって、お義父さん時々晩酌禁止されてたよね」 「そうだっけ?」 「そうだよ。その時のお義父さんのシュンとした顔、今でも覚えてる。……悟クン、さっき同じ顔してたよ」 「……そ、そう?」 「うん、あたし怒ってなのに」 「怖く、なかった?」 「怖くなんてないよ。ちょっとびっくりしたけど」 「……そりゃよかった」 会話を交わすたびに少しずつ顔が近づき、鼻先が触れて、そして、唇が触れた。 何度か啄むようなキスを繰り返して顔を離す。 ゆっくり瞼を開いた折原の瞳は熱っぽく潤んでいた。 「…シャワー、浴びてくる?」 「……うん」 折原は立ち上がるとベッド脇のクローゼットからバスローブを取り出し、バスルームへと向かった。 |