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園芸部というのはなんでも、この学園の数ある部活の中でも変わり者の多く集まる場所らしい。
一等はじめに開かれる説明会がちょうど今日の放課後で、ちょうどいいと思いながら出席してみたところ、人数は先輩を含めて十人に満たなかった。
少数精鋭にも程がある。予算会議なんかは大丈夫なのかと疑いたくなるほど、大人しそうな生徒ばかりが揃っている。
私と同じ一年生はもう一人しかおらず、別のクラスらしく面識のない子であった。
園芸部、といっても温室の管理、学園内の指定位置の庭いじりから花の鑑賞、交配の研究まで広く取り扱っているらしい。それぞれなにをやりたいのか、これから行われる説明と体験入部を受けて希望を出すのだという。
多分一番は花の鑑賞なのだろうと当たりをつけたのだが、周囲の反応から見て、どう足掻いても違うのだろう。
貴族の子が自分から土で手を汚しに行くなんて相当の変わり者だと思ったが、どうやら此処はその変わり者の巣窟のようで。私と同じ一年生の少女は花の交配云々の、所謂研究分野に興味があるらしい。私にそちらの興味は皆無なため、彼女と親しくなる道のりは長そうだ。
「基本的に毎日の活動は個人で行ってもらうことになります。週に一度の集まりを除いての活動は自由です。定期的に集まりにさえ参加してくだされば、何もせずとも問題ありません」
幽霊部員を公式に勧めている。大丈夫なのかこの部活動は。
部長だという意志の強そうな女性の先輩の話を聞いていて、とにかく驚かされた。頭数さえ揃っていてくれれば後は何でも良いということだろうか。心配になるが、しかしこれはこれで好都合かもしれない。私はとにかく集団行動というものが苦手である。将来社交をすることになったとして、本当に大丈夫なのかと頭を抱えたくなる程度には愛想が悪いし、考えていることはすぐに顔に出る。
体験入部として庭に移動してみようと周りが動き出したのに合わせて歩き出してみたのはいいが、友達作りのために部活動に入りたいなんて下心のためだろうか、ぽつりと浮いてしまっていた。
周りの先輩方は幾人かで固まっているし、頼みの綱の一年生は積極的に先輩に話しかけに行っている。見かけによらず積極的な子のようである。
どこまでも一人。かわいそう私、なんて悲劇のヒロインぶってみても誰も私に話しかけてくれる人なんていない。もう既に泣きそうである。助けを求められる人達は皆生徒会で、マーガレットに至っても部活動に行ってしまっている。
「ねぇ」
おろおろしている私の前に、スっと誰かが立つ。
「もう皆行っちゃったけど」
見上げると、王子様より幾らか低いくらいの身長の男の人が立っている。無表情で、ぶっきらぼうに私を見下ろしながら声をかけてくれた。
「エっ」
咄嗟にきょろきょろ辺りを見回すと周りにいた部員達の姿はなく、目の前の彼くらいしか残っていない。
「あ、ありがとうございます……」
「別に、俺も園芸部入るし。さっさと行こう」
くるりと背を反転。男の人は歩き出す。
これはチャンスだ。
「あ、あの。私、オフィーリアといいます、一年生です。貴方のお名前は……?」
「……? ケイトだけど」
振り返ってきょとんと不思議そうにする顔はちょっと幼げで、切れ長な目の、無愛想な顔がなんだか可愛らしく見える。
ちらりと見えた校章の色は王子様と同じだから、一つ先輩なのだろうけれど、それくらいの歳の差はあって無きが如しだと知っている。
「ケイト先輩、よろしくお願いします……」
頭を下げると、ん、と先輩は頷いた。
今更だけど、この人は私を腫れ物扱いしないようだった。

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