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きゃぁ、言っちゃった。
年甲斐もなく私は実に照れていた。
年甲斐もなく、と言っても私自身の体は今十二歳、今年十三歳のいたいけな中学一年生だし、こうやって照れるのはむしろ大人ぶっているような感じなのだけれど。
下を向いて、それからちらりと、目の前のマリアベル様を伺う。
彼女は目を見開いてパチクリと大きく瞬きをした。その何だか抜けている姿が、私の中の凛とした完璧な令嬢、マリアベル様の姿を少しだけ変えてしまう。ただ、そんなギャップも素敵と思ってしまうのだから、私は多分、相当彼女に入れ込んでいる。
「マリアベル様?」
「っ、いいえ、突然こんな事を言われて、驚いてしまって。申し訳ないのだけど私、貴女のお名前も知りませんし……」
そういえば、初対面だったかもしれない。私はずっと彼女を目で追いかけていたが、彼女はきっと、私のことなんて知らないだろう。あ、やだ。まるでストーカーみたいだ。
「申し訳ありませんっ、オフィーリア=ホルクハイマーと申します。あの、マリアベル様の事はずっと素敵な方だと思っていましたの」
「マリアベル=テンペストです。ホルクハイマーのご令嬢にそんなことを思っていただけるとは光栄ですわ」
「えぇ、あの、ルー様の、十歳の時の誕生パーティーで、マリアベル様をお見かけしましたの。フランシア様と渡り合うマリアベル様のお姿を見て、感服いたしましたの……」
ほぅ、と思わず悦に浸ってしまう。あの時の彼女は、まさしくお姫様と言わんばかりの風格だった。
きっと、ルー様の隣に並ぶなら彼女のような人がいいのだろう。今の私は、そう思ってしまう。
「あのパーティーで? もう、四年近く前のことですのに……」
「そうなのですけれど、あの時のマリアベル様があまりに格好よくて、是非、お友達になれたらと思いましたの。そうしたら偶然、同じ学年だったんですもの」
頑張って、微笑んだ。マリアベル様は生粋のご令嬢だ。若しかしたら私みたいな妾腹の娘とはお近付きになりたくない、なんておっしゃるかもしれないのだし。
「ありがとうございます、オフィーリア様。でも、私お友達というのは申し出てなるようなものでは無いと思いますの」
ああこれは、お断りの言葉なのかもしれない。彼女みたいなお姫様の断り方にしては、随分と私を気遣ってくれるものだったのだけど。貴方みたいな穢らわしい血筋の娘と、とか、何とか、言われるかもしれないという覚悟はしてきているのだし。
「ですけれど、」
マリアベル様は、そんなふうにきりかえた。
「お友達になる為の努力は、出来ますわね」
そう言って、ふんわり、可憐に微笑まれた。それは大人びた印象のマリアベル様とは違う、可愛らしくて、あどけない微笑み。
「ありがとうございますっ」
私は頭を下げていた。にっこり、マリアベル様に微笑んでいただけた。感極まって、声は裏返っていたけれど。