2人が付き合い始めたのを、俺はツッキーから聞いた。聞いたって言うか、知ったって感じ。
めったに教室から出ないツッキーがある日の昼休み、荷物をまとめてたのをみかけたのがきっかけ。
「ツッキーどこ行くの?」
「どこだっていいデショ」
いつものノリだった。
移動教室でもない限り、ほとんど教室で過ごすツッキーがどこに行くのか気になったって言うのもある。
「俺もついてっていい?」
「…別にいいけど」
許可を得て、俺も鞄をもってツッキーの後についていく。お昼はどこもざわついてるのに、ツッキーが向かう先はどこかひっそりした雰囲気に近付いていた。なんとなくだけど、ツッキーが好きそうな雰囲気。
「ねぇツッキー、どこまで行くの?」
「もうちょっと」
そう言って階段をひたすら上っていく。このままだと屋上に出るんじゃないかな?なんて思うくらい上ってたら、女の子がいた。
「あれ?」
普段ツッキーに集まる女の子達よりも少し低めの落ち着いた声。たまに折れそうに細い子がいるけど、全然そんなことない。至って普通の女の子。
「ごめん、ついてきたいって言われたから」
待ち合わせでもしてたのか、ツッキーは自然とその子と話してた。
「友達?」
「山口忠です!」
「安住梨都です」
それが安住さんだったわけで。
「いきなりごめん。待ち合わせだって教えてくれたらよかったのに」
「気にしてないからいいよ」
「時間なくなるよ?」
「そうだよ、食べちゃおう?」
俺は妙な気まずさを拭えないまま、ツッキーの隣で弁当の蓋を開いた。
「それって甘いやつ?」
「今日のは甘くないよ?」
「明日作ってきて」
「甘いの?」
「そう」
「じゃあなんかと交換ね」
「うん」
2人の距離感が、ただの友達のものじゃないことはすぐにわかった。だからといってよく見かけるようなカップルかと言われると、それも少し違う。
「あ、あの」
「んー?」
「ふ、2人は付き合ってるの…?」
俺としては思いきって聞いてみたのに、ツッキーは世間話みたいに「そうだけど」なんて返してきたからびっくりした。その隣で安住さんは少し恥ずかしそうにしてて、思ったよりもかわいいなと思った。
「いつから?」
「最近だよ。ね」
「うん」
だから少し調子に乗ったところはあった。
「安住さんから?」
「違う」
「え!じゃあツッキー?!」
「悪い?」
「全然!そうだったんだ!」
どんなにかわいい子から告白されても断り続けてきたツッキーに、まさか自分から告白するほど好きな子がいたとは。ほとんどツッキーと一緒にいるけど全然知らなかった。
「ツッキー、安住さんと食べるときはちゃんと言ってね。邪魔しないから」
「そんな邪魔なんて」
「そ、ありがと」
「ええ!?」
俺が一緒にご飯を食べたのはそれきりで、2人が一緒にいるのを見たのもそれきり。
部活があるから安住さんには先に帰ってもらってるみたいだったけど、それでもたまにお昼は一緒に食べてたと思う。
携帯をさわる時間も少しだけ増えた。その時のツッキーは表情こそ変えないようにしてたけど、めちゃくちゃ空気が緩んでるのが俺にはわかった。だからきっと、安住さんとメールでもしてるんだろうなぁと思ってた。ケンカしたとか聞いたことがなかったし、ずっと仲がいいんだとばかり思ってた。
それなのに、なんでこうなったんだろう。
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