05/16
(
これの続き)
学校までの道のりはあっという間で、不思議なことに迷うこともなく他の生徒とともに校門までたどり着いた。
「おはようございます」
『お、おはようございます』
話しちゃった…彼じゃないけど、彼の仲間と話しちゃった。絶対話せるわけがなかったのに、言葉を交わせた。これなら、彼とも話すことができるかも知れない。
そんな風に鰻登りのテンションとは裏腹に、私の頭のどこかは冷めて「本当なんだ」なんて冷静に考えてた。
教室までの道のりはしっかり歩いていたはずなのに、どこか浮わついていたみたい。
『きゃ…っ』
その証拠に思いっきり階段を踏み外した。
踏み外したと言うより段に足がかかりきらなかったから、後ろにひっくり返るように落ちる…
「大丈夫か?」
…と思いきや、誰かの腕の中にすっぽり収まってた。
た、助かったけど、痛い思いしなくてよかったのは嬉しいけど…恥ずかしい…
「#name2#?」
『は、はい…ありがとうございます』
「ははっなんで敬語なんだよ。去年同じクラスだったろ?」
『え?あ、うん。ごめんね』
そうだったんだ…知らなかった。
「足おかしくないか?」
『うん。なんともないよ』
「ならよかった。#name2#はこれから教室か?」
『うん。ジャッカルくんは…』
あ、呼び方…
昔はなんて呼んでたんだろう。もし違う呼び方してたなら、突然呼び方変わったなっておかしく思われちゃう。
そしたらどうなるんだろう。
まさか…帰るなんてこと…
「…い、大丈夫か?」
『え?あ…大丈夫、なんでもない』
「顔色悪いけど保健室行くか?」
『本当に大丈夫。ごめんね?心配かけて』
「なんでもないならいいんだけどよ。じゃあ俺行くな」
『ぁ、じゃあね』
私は向こうに帰るわけにはいかない。
あんな痛いのは嫌。越えられない壁に嘆くのも嫌。気持ち悪いなんて言われたくない。
仕方ないじゃない、好きになっちゃったんだもん。たまたま好きになった人が画面の向こう側にいたんだもん。私がこっちに産まれちゃったんだもん、仕方ないじゃない。
アイドルの追っかけと何が違うのよ。周りに迷惑かけないだけマシじゃない。
『絶対…帰らないんだから…っ』
あんな辛い思い、もうしたくないんだもん…