「神田は席取っておいてくれる?今日も蕎麦でしょ?」
「アリスはなんにする?また日本食か?」
『え、いいよ。私もらってくるからラビが席にいて』
「ユウといたらいじめられるさー」
「ファーストネームで呼ぶな」
確かにラビと神田じゃ周りに迷惑か。
ほら、ラビは顔が広いからよく話しかけられるんだけど、その近くに神田がいると煩いって怒りそうじゃん。そうでなくてもラビがダル絡みして神田のこと怒らせがちなのに。
そう結論付けて、今日食べたいメニューはラビに任せることにした。
『じゃあカルボナーラと小さめサラダとミルクジェラート!』
ハンバーグはやめた。なんかラビに持っていかれそうな予感がした。
私の勘なんてだいたいはずれるんだけどね!
「了解。なんか今失礼なこと考えんかったか?」
『全然?考えすぎなんじゃない?あ!神田待ってよ!ラビよろしくね!』
ラビの鋭い読みをすっぱり切って、私は先に歩き出してた神田を追いかけた。
「本当、素直になってくれてよかったわ」
「ちょっと素直すぎて心配だけどな」
「でも前より距離が近くなった感じがしない?」
「あー、今はなにかと頼ってくれるかんな」
「そうそう。前はなんでも1人でやってたから、なんだか嬉しいの」
「リナリー気付いてたか?ユウのやつ、アリスにはファーストネーム呼ばれても怒んねえの」
「…確かに言われればそうね」
「ユウは昔っからアリスに甘いからな」
「やっぱりそう思う?」
「リナリーも思ってたんか」
「ええ」
「実際どうなんかなー」
「どっちでもいいじゃない」
「気にならないんか?」
「そうじゃなくて、アリスが笑っててくれたらそれで充分ってこと」
「リナリー、それ親が子供に思うやつじゃね?」
ラビとリナリーの話なんてまったく知らない私は、元気に神田に絡んでます。
神田の周りはいつも少しだけ空間があるから、人混みの中から探すときは変な空間を探すと手っ取り早い。あとは探索部隊の声。神田みんなに怖がられ過ぎだから。
だから私が軽い感じで絡んで神田なんて怖くないよアピールをしてるわけです。
『神田ー!ユウちゃーん!』
「うるせぇな」
『そんなこと言わないのー』
神田の正面を陣取って、ひとまず神田をガン見してみた。神田ちょードぱっつんだな。あと目付き悪。睨まれるとめっちゃ怖いけど、睨まれなくても怖いって人付き合い大変そう。いや、人付き合いなんて本人が望んでないから気にしなくて良いのか。
相当混んでない限りすぐ隣に座られることはないし、なにより神田が近くにいると誰も寄ってこないから正面さえ陣取っておけば自然とラビとリナリーの席も確保できるのさ!神田便利!
「なんだよ」
ちょっと黙ってみようと思っただけなんだけど、珍しく神田から話しかけられた。
さすがにガン見されるのは嫌だったらしい。
『毎日蕎麦ばっかり食べてて飽きないの?』
「うるせぇ」
『実はちょっと飽きてるでしょ』
「…うるせぇ」
今の間はなんなんだ。飽きてるのか?実は蕎麦に飽きてるってやつなんだな?無言は肯定と見なします!聞いてもないけど。
『私のカルボナーラちょっと食べる?同じ麺類だし、他のより食べやすくない?』
「いらねぇ」
『おいしいよ?』
「いらねぇ」
『食えよ』
おっといけない。ちょっと拒否続きでイラっときてしまった。カルシウム取らないとだね。
「人の飯に文句つけんな」
『蕎麦に文句はねぇわ。神田が蕎麦ばっか食って他拒否ってるから言ってんだよ。いいから食え』
こっちは心配してんだよ。蕎麦ばっかり食べてたら栄養偏ってそのうち死ぬぞ。
「…わかった」
お。神田が折れた!
やたー。初めて蕎麦以外を食べる神田が見ーれるー!
『なんで神田は蕎麦しか食べないの?』
「お前に関係ないだろ」
『関係はないけどさ、好きすぎでしょ。他に好きなものとかないの?』
「別に」
『エリカサマか!』
「は?」
『…なんでもないです』
ちっ。ここじゃやっぱり通じないか。
それもそうだよね。もっとこっちでもわかりやすいネタとして布教していかないと。
念のために言っておくと、別にファンとかそう言うわけではないからね。
「お待たせー」
「ほーら、アリスのディナーセットさ」
『ありがとーっ』
「どーいたしまして」
ラビは神田の隣に、リナリーは私の隣に座ると、それぞれご飯に手を伸ばした。
もちろん私もラビからご飯を受け取ると、早速パスタをくるくるする。
あんまりソースが多いと嫌かもしれないから、少し控えめ。ちゃんとベーコンも巻き込んだ。ちょっと少なくなっちゃったかな?でもいいか。口に突っ込みやすいと言うことにしよう。
『ほい神田っ』
「え?」
「アリス?なにしてるんさ」
神田はめちゃくちゃ冷ややかな視線を投げて寄越した。リナリーはわかんないけど、ラビは私の行動が理解できないと言った目をしてる。
『神田にカルボナーラを食わせよう作戦』
「神田が蕎麦以外食うなんてありえないさー」
『ラビ煩い』
そんなことはわかってるよ。でも今日の私はいつも以上に真面目なんだよ。なにせ、神田が蕎麦以外を食べることになる貴重な日になるんだから。
だから黙って。
「なんだかいつになく強気ね」
「なんか今の【アリス】思い出したさ…」
『だからって泣くことないでしょ。ほら神田』
「いらん」
『さっきわかったって言ったじゃん。嘘つくなって』
私は神田に食べさせる為に立ってフォークを神田に向けてるんだけど、リーチが足りなくて少し前のめりなんですよ。
要するに疲れるから早く食べてくれ。
「ひどいさー…」
「でも、神田に食べさせるなんて無理よね?」
「いや?アリスならもしかするかもしれないさ」
こいつなかなか食べようとしないな。このままシカトすれば食べなくて済むって考えか?それとも単純にラビが見てるから?絶対にこのまま逃がしはしないよ。ラビが気になるならその意識を他に向ければ良いんだもん。手っ取り早く意識を他に向けるならあれしかないかな…
『あー!!イケメンと美女が!!』
「どこさ!」
いきなり大声を出して入り口に視線を持っていく。ダメもとでイケメンも言ってみたけど、リナリーもちゃんと振り返った。
しかも!作戦が成功しただけでなく、驚いたらしい神田の動きが止まった!その隙を見逃すはずもなく、私はパスタをそのまま神田の口に突っ込んだ。
「むがっ」
上手いことフォークが当たったりした感触がないから傷つけてはないと思うけど、絶対びっくりしたよね。
『ど?うまい?』
初めて食べたパスタが血の味するなんて、今後パスタを食べなくなる理由になるよね。大丈夫かな…
「え!食べたのか?!」
「嘘でしょ!?」
『ふっふーん』
食べたと言うよりもぶちこんだって言う方が正しいけどね!口の中怪我した可能性が捨てきれないけどね!私はやる時はやる女なのだよ!
「(なんか誇らしげね)」
「(ものすごく誇らしげだ)」
『言え神田!うまいだろう!』
「…まずくはない」
『はぁーっはっはっは!』
「(壊れた)」
「(アリスが壊れたわ)」
これでたまに蕎麦以外を食べるようになればいいんだけど、無理だろうな!なにせいきなり突っ込んだだけだからね!軽いトラウマになってなければ万々歳だね!
さて。私も食べようかな。
『いただきまーす』
「あ!」
『う?なんべふふぁ?』
おっと失礼。なんかパスタ食べたらラビが叫んだからつい。
「そっそれってかんせってえ!」
「ラビ黙って!言わなくていいわ!」
『かんせ?あ、完成?』
やり取りから察するに、リナリーがラビの足を蹴ったりでもしたんだろう。
でもなんでいきなり完成?そりゃパスタは食事として完成してるけど、そんなもん言われなくてもわかってるよ。
「そんなのダメさー!」
『なんなの?ラビ。静かに食べてよね』
「…ぐすっ」
「うぜぇ」
「ほら、ラビもはやく食べましょ」
ふむ。こうしてラビはいじられキャラになっていくのか。これもある種の才能だろうな。
そう思ってふと見たら、ジェラートが海を作ろうとしてるのに気が付いた。
『あ!ジェラート溶ける!』
「遊んでるからだろ」
『遊んでないしっ』
そうして話してるうちにも、ジェラートは刻一刻と溶けて白い海を広げていく。
神田にパスタ食べさせようと頑張ったからだ!頑張らなければ溶けない予定だったんだけど、頑張りたくなったんだもん!あああせっかくのジェラートが!いいもん、先に食べちゃうもん!
パスタに1回休憩を言い渡して、私は溶けかけのジェラートを消費することにした。
「そんなことしていいの?」
「つーかジェラートが無謀だったんさ」
『おいしいからいいんだよっ』
あー。ジェラートは失敗だったかぁ。次からはやめよ。
「アリス気付いてるか?オレが知ってるだけでも月に1回は同じ事してるさ」
『ちょっと黙っててくださーい』
そんな高頻度でやってないと思いつつジェラートを食べて、忘れかけてたサラダにフォークを立てた時。正面で神田が席を立った。
「神田もう行くの?」
「寝る」
私が格闘してる間に黙々と蕎麦を食べてたらしい。どんだけ蕎麦好きなんだよ!私も食べたくなってきた!
「お休みさー」
『神田!』
「あ?」
『お帰り!…ってまだ言ってなかったから』
勢いでここまで来ちゃったからすっかり忘れてた。ちゃんと言っておかないといけないと思ったんだけど、神田はまるっと無視して食堂から消えた。
あ、あ。無視ですか。神田さん無視するんですね。わかってますよ、カルボナーラ無理矢理食べさせたし騒いだしお疲れなんですね。
「神田も素直じゃねーさ」
「本当」
『神田いつもより疲れてた。騒いだからかな…』
「ないわよそんなこと」
『パスタむりやり突っ込んだし』
「気にすんなって。案外満更じゃなかったと思うさ」
『そうかなぁ…』
「大丈夫よ。神田もたまには蕎麦以外食べるべきだわ」
「なら次は生クリーム食わせるか?」
「怒られるわよ?」
『斬られるね』
「そん時は助けてっ」
『やだ』
「そこにいたらね」
「…最近みんなが冷たい」
部屋に戻ったら久しぶりにお湯に浸かろうかな。なんとなく大浴場が苦手なんだけど、どうやらアリスも苦手だったらしい。私の部屋には湯舟までついたお風呂があるのは、そう言うことなんだろう。
『ごちそーさまでした』
「これからどうする?」
「アリスは?」
『お風呂入り直す』
「私も兄さんのところ行こうかな」
「オレは書庫でも行くかな」
『じゃあまた修練場で』
「おう、おやすみ」
「おやすみアリス」
「アリスはなんにする?また日本食か?」
『え、いいよ。私もらってくるからラビが席にいて』
「ユウといたらいじめられるさー」
「ファーストネームで呼ぶな」
確かにラビと神田じゃ周りに迷惑か。
ほら、ラビは顔が広いからよく話しかけられるんだけど、その近くに神田がいると煩いって怒りそうじゃん。そうでなくてもラビがダル絡みして神田のこと怒らせがちなのに。
そう結論付けて、今日食べたいメニューはラビに任せることにした。
『じゃあカルボナーラと小さめサラダとミルクジェラート!』
ハンバーグはやめた。なんかラビに持っていかれそうな予感がした。
私の勘なんてだいたいはずれるんだけどね!
「了解。なんか今失礼なこと考えんかったか?」
『全然?考えすぎなんじゃない?あ!神田待ってよ!ラビよろしくね!』
ラビの鋭い読みをすっぱり切って、私は先に歩き出してた神田を追いかけた。
「本当、素直になってくれてよかったわ」
「ちょっと素直すぎて心配だけどな」
「でも前より距離が近くなった感じがしない?」
「あー、今はなにかと頼ってくれるかんな」
「そうそう。前はなんでも1人でやってたから、なんだか嬉しいの」
「リナリー気付いてたか?ユウのやつ、アリスにはファーストネーム呼ばれても怒んねえの」
「…確かに言われればそうね」
「ユウは昔っからアリスに甘いからな」
「やっぱりそう思う?」
「リナリーも思ってたんか」
「ええ」
「実際どうなんかなー」
「どっちでもいいじゃない」
「気にならないんか?」
「そうじゃなくて、アリスが笑っててくれたらそれで充分ってこと」
「リナリー、それ親が子供に思うやつじゃね?」
ラビとリナリーの話なんてまったく知らない私は、元気に神田に絡んでます。
神田の周りはいつも少しだけ空間があるから、人混みの中から探すときは変な空間を探すと手っ取り早い。あとは探索部隊の声。神田みんなに怖がられ過ぎだから。
だから私が軽い感じで絡んで神田なんて怖くないよアピールをしてるわけです。
『神田ー!ユウちゃーん!』
「うるせぇな」
『そんなこと言わないのー』
神田の正面を陣取って、ひとまず神田をガン見してみた。神田ちょードぱっつんだな。あと目付き悪。睨まれるとめっちゃ怖いけど、睨まれなくても怖いって人付き合い大変そう。いや、人付き合いなんて本人が望んでないから気にしなくて良いのか。
相当混んでない限りすぐ隣に座られることはないし、なにより神田が近くにいると誰も寄ってこないから正面さえ陣取っておけば自然とラビとリナリーの席も確保できるのさ!神田便利!
「なんだよ」
ちょっと黙ってみようと思っただけなんだけど、珍しく神田から話しかけられた。
さすがにガン見されるのは嫌だったらしい。
『毎日蕎麦ばっかり食べてて飽きないの?』
「うるせぇ」
『実はちょっと飽きてるでしょ』
「…うるせぇ」
今の間はなんなんだ。飽きてるのか?実は蕎麦に飽きてるってやつなんだな?無言は肯定と見なします!聞いてもないけど。
『私のカルボナーラちょっと食べる?同じ麺類だし、他のより食べやすくない?』
「いらねぇ」
『おいしいよ?』
「いらねぇ」
『食えよ』
おっといけない。ちょっと拒否続きでイラっときてしまった。カルシウム取らないとだね。
「人の飯に文句つけんな」
『蕎麦に文句はねぇわ。神田が蕎麦ばっか食って他拒否ってるから言ってんだよ。いいから食え』
こっちは心配してんだよ。蕎麦ばっかり食べてたら栄養偏ってそのうち死ぬぞ。
「…わかった」
お。神田が折れた!
やたー。初めて蕎麦以外を食べる神田が見ーれるー!
『なんで神田は蕎麦しか食べないの?』
「お前に関係ないだろ」
『関係はないけどさ、好きすぎでしょ。他に好きなものとかないの?』
「別に」
『エリカサマか!』
「は?」
『…なんでもないです』
ちっ。ここじゃやっぱり通じないか。
それもそうだよね。もっとこっちでもわかりやすいネタとして布教していかないと。
念のために言っておくと、別にファンとかそう言うわけではないからね。
「お待たせー」
「ほーら、アリスのディナーセットさ」
『ありがとーっ』
「どーいたしまして」
ラビは神田の隣に、リナリーは私の隣に座ると、それぞれご飯に手を伸ばした。
もちろん私もラビからご飯を受け取ると、早速パスタをくるくるする。
あんまりソースが多いと嫌かもしれないから、少し控えめ。ちゃんとベーコンも巻き込んだ。ちょっと少なくなっちゃったかな?でもいいか。口に突っ込みやすいと言うことにしよう。
『ほい神田っ』
「え?」
「アリス?なにしてるんさ」
神田はめちゃくちゃ冷ややかな視線を投げて寄越した。リナリーはわかんないけど、ラビは私の行動が理解できないと言った目をしてる。
『神田にカルボナーラを食わせよう作戦』
「神田が蕎麦以外食うなんてありえないさー」
『ラビ煩い』
そんなことはわかってるよ。でも今日の私はいつも以上に真面目なんだよ。なにせ、神田が蕎麦以外を食べることになる貴重な日になるんだから。
だから黙って。
「なんだかいつになく強気ね」
「なんか今の【アリス】思い出したさ…」
『だからって泣くことないでしょ。ほら神田』
「いらん」
『さっきわかったって言ったじゃん。嘘つくなって』
私は神田に食べさせる為に立ってフォークを神田に向けてるんだけど、リーチが足りなくて少し前のめりなんですよ。
要するに疲れるから早く食べてくれ。
「ひどいさー…」
「でも、神田に食べさせるなんて無理よね?」
「いや?アリスならもしかするかもしれないさ」
こいつなかなか食べようとしないな。このままシカトすれば食べなくて済むって考えか?それとも単純にラビが見てるから?絶対にこのまま逃がしはしないよ。ラビが気になるならその意識を他に向ければ良いんだもん。手っ取り早く意識を他に向けるならあれしかないかな…
『あー!!イケメンと美女が!!』
「どこさ!」
いきなり大声を出して入り口に視線を持っていく。ダメもとでイケメンも言ってみたけど、リナリーもちゃんと振り返った。
しかも!作戦が成功しただけでなく、驚いたらしい神田の動きが止まった!その隙を見逃すはずもなく、私はパスタをそのまま神田の口に突っ込んだ。
「むがっ」
上手いことフォークが当たったりした感触がないから傷つけてはないと思うけど、絶対びっくりしたよね。
『ど?うまい?』
初めて食べたパスタが血の味するなんて、今後パスタを食べなくなる理由になるよね。大丈夫かな…
「え!食べたのか?!」
「嘘でしょ!?」
『ふっふーん』
食べたと言うよりもぶちこんだって言う方が正しいけどね!口の中怪我した可能性が捨てきれないけどね!私はやる時はやる女なのだよ!
「(なんか誇らしげね)」
「(ものすごく誇らしげだ)」
『言え神田!うまいだろう!』
「…まずくはない」
『はぁーっはっはっは!』
「(壊れた)」
「(アリスが壊れたわ)」
これでたまに蕎麦以外を食べるようになればいいんだけど、無理だろうな!なにせいきなり突っ込んだだけだからね!軽いトラウマになってなければ万々歳だね!
さて。私も食べようかな。
『いただきまーす』
「あ!」
『う?なんべふふぁ?』
おっと失礼。なんかパスタ食べたらラビが叫んだからつい。
「そっそれってかんせってえ!」
「ラビ黙って!言わなくていいわ!」
『かんせ?あ、完成?』
やり取りから察するに、リナリーがラビの足を蹴ったりでもしたんだろう。
でもなんでいきなり完成?そりゃパスタは食事として完成してるけど、そんなもん言われなくてもわかってるよ。
「そんなのダメさー!」
『なんなの?ラビ。静かに食べてよね』
「…ぐすっ」
「うぜぇ」
「ほら、ラビもはやく食べましょ」
ふむ。こうしてラビはいじられキャラになっていくのか。これもある種の才能だろうな。
そう思ってふと見たら、ジェラートが海を作ろうとしてるのに気が付いた。
『あ!ジェラート溶ける!』
「遊んでるからだろ」
『遊んでないしっ』
そうして話してるうちにも、ジェラートは刻一刻と溶けて白い海を広げていく。
神田にパスタ食べさせようと頑張ったからだ!頑張らなければ溶けない予定だったんだけど、頑張りたくなったんだもん!あああせっかくのジェラートが!いいもん、先に食べちゃうもん!
パスタに1回休憩を言い渡して、私は溶けかけのジェラートを消費することにした。
「そんなことしていいの?」
「つーかジェラートが無謀だったんさ」
『おいしいからいいんだよっ』
あー。ジェラートは失敗だったかぁ。次からはやめよ。
「アリス気付いてるか?オレが知ってるだけでも月に1回は同じ事してるさ」
『ちょっと黙っててくださーい』
そんな高頻度でやってないと思いつつジェラートを食べて、忘れかけてたサラダにフォークを立てた時。正面で神田が席を立った。
「神田もう行くの?」
「寝る」
私が格闘してる間に黙々と蕎麦を食べてたらしい。どんだけ蕎麦好きなんだよ!私も食べたくなってきた!
「お休みさー」
『神田!』
「あ?」
『お帰り!…ってまだ言ってなかったから』
勢いでここまで来ちゃったからすっかり忘れてた。ちゃんと言っておかないといけないと思ったんだけど、神田はまるっと無視して食堂から消えた。
あ、あ。無視ですか。神田さん無視するんですね。わかってますよ、カルボナーラ無理矢理食べさせたし騒いだしお疲れなんですね。
「神田も素直じゃねーさ」
「本当」
『神田いつもより疲れてた。騒いだからかな…』
「ないわよそんなこと」
『パスタむりやり突っ込んだし』
「気にすんなって。案外満更じゃなかったと思うさ」
『そうかなぁ…』
「大丈夫よ。神田もたまには蕎麦以外食べるべきだわ」
「なら次は生クリーム食わせるか?」
「怒られるわよ?」
『斬られるね』
「そん時は助けてっ」
『やだ』
「そこにいたらね」
「…最近みんなが冷たい」
部屋に戻ったら久しぶりにお湯に浸かろうかな。なんとなく大浴場が苦手なんだけど、どうやらアリスも苦手だったらしい。私の部屋には湯舟までついたお風呂があるのは、そう言うことなんだろう。
『ごちそーさまでした』
「これからどうする?」
「アリスは?」
『お風呂入り直す』
「私も兄さんのところ行こうかな」
「オレは書庫でも行くかな」
『じゃあまた修練場で』
「おう、おやすみ」
「おやすみアリス」