まぁ、調子乗って意気込んだりしましたが怖いものは怖いんですよ。さっきのこともあるから、魔女よりもアクマの方がいそうだし。
ゴズさんとビクビクしながら、少し慎重に村を見回してみる。
気配…なんてやっぱりよくわかんない。体調を崩したのか緊張のしすぎか気持ち悪い感じはするんだけど…て言うかさ、なんで気配なんてわかるの?忍の者なの?
「あ、神田さん、返り血を拭いたほうがいいですよ。そんな顔だと、村の人たちが怖がりますし、いくら体の内部に入らなければ大丈夫とはいえ、ずっと付着しているとアクマの血のウィルスに感染してしまう可能性がありますよ」
『へぇ…そうなんだ』
アクマのウィルス?なんだっけ。なんかヤバそうな感じは覚えてるけどよくわからん。今神田に聞いたら斬られそうだから、帰ったら誰かに聞こう。
「そんなものいらん。どうせすぐ落ちる」
ゴズさんのハンカチを断って神田が空を見上げたのと同時に、雨が降ってきた。
雨が降りそうだったからこんなに早く暗くなってたんだ。わかってたなら教えてくれてもよかったのに。
「本当に魔女の棲む村っぽいですね」
傘なんて持ってない私達は、村の真ん中を通る道をしばらく歩いてみたけど、雨と私達の足音がするだけで他の音はまったくしない。人の生活する音も、飼育しているらしい家畜の音も何ひとつとして聞こえてこない。
今更だけどさ、この村本当に村として機能してるの?
「どこか適当な家を訪ねてみましょうか?」
『そうですね…神田?』
「どうしたんですか?」
『雑貨屋さん?』
神田の視線の先には雑貨屋さん。どうやら神田はそこをを選んだらしい。
別に人がいそうならどこだっていいわけだから、神田の後ろについて木製の扉を開いた。蝶番が錆びてるのか立て付けが悪くなってるのか、如何にもそれっぽく軋みながら開いてたもんだから今にもなんか出てきそう。
「すいませーん、誰かいますか?」
探索部隊だけあって度胸のあるらしいゴズさんと神田の間から、私はこっそり店内を見回した。店内には釣竿に錆びた斧、それにいつのものかわからないような缶詰…あれ置いてて大丈夫なの?確かに缶詰は保存食ではあるけど、一応保存期限と言うものがあってだね。
「ひいっ!」
『うひっ!』
何かに驚いて飛び上がったゴズさんに驚いた。
よくよく見れば、カウンターには店主らしきじいちゃんがいた。これに驚いたのかこのデカブツは。
「ここの店主か?」
「は、はい。そうです」
「黒の教団の者だ」
その名前が如何なるものか、ここに着くまでに身を持って知りました。ここに来るとき、列車で車掌さんめっちゃへこへこしてたもん。あんな無茶言ってホントすみません。
でも、外と完全に遮断されてるこの村では通用しなかった。神田の態度と服の銀装飾から、かろうじて偉い人っぽいことは伝わったらしい。だけど、私達がなんなのかはよくわかってないと思う。
さっそく神田とゴズさんが聞き込みを始めたけど、これといった情報は出ないだろう。だってほら、足悪いみたいだし。
私はいくらなんでも3人もいらないだろうと判断して、聞き込みには参加せず強くなり始めている雨をぼんやり見ていた。
「いったいどういうことなんでしょう……」
案の定たいした情報は得られなかったらしい。
どうしたものかと考えこんだ神田に、おじいちゃんがため息をついた。私もつきたいよおじいちゃん。
「ところで、この村って他にも人がいますよね?」
「え、ええ、もちろんです」
「よかったー。村に入っても誰にも会わないし、人の気配もないから心配しちゃいましたよ」
え、ちょっと待って。ゴズさんも気配なんてわかるの?ここで普通なのって私だけ?マジで?ちょ、これヤバい。冗談抜きで足手まといになるんじゃない?!
「行くぞ。他の家も回ってみる」
『え。やだ』
これ以上の情報を得られないと判断した神田が外に向かおうとしたけど、私は咄嗟に拒否してしまった。
「わがまま言ってる場合じゃねぇだろ」
ここに来るまでずっと怖いと騒いでたからそう思われても仕方ないけど、今回はそんなわがままじゃないんです。
『そうじゃなくて、外』
神田が扉を開けたが、雨は先程より強くなり少し先すら見えない程視界が悪くなっている。いつの間にか強くなっていた雨に気付かなかったのか、神田は言葉を失ってた。
傘でもあれば家を回って話を聞くこともできただろうけど、さっき言ったように傘なんてない。薄いカーテンでもかけたようなこの状況で傘もなく家を回ったところで、話を聞くことができるかどうか…たぶんだけど、不審者と思われて話にならないだろう。
人間関係以外では完璧超人みたいな神田だけど、どうやら聞き込みしてる時は話を聞く方に集中力を使うのか、周りの状況まで察知できないらしい。ちょっと意外な発見。
「お客さん、もう夜だしこの雨だ。明日にしたらどうです?お連れさんの顔色もよくないし」
『私は普通だよ!』
教団に戻る度に、いろんな人から顔色が悪いと言われる私だけど今日は違う。咄嗟に私を見た神田に、私はもちろん全力否定。それを見たおじいちゃんは苦笑いしながら、私の隣にいたゴズさんを指差した。
それを見て納得した。気温が下がった事もあるんだろうけど、顔色は悪いし震えてるし、見るからに体調不良な感じ。アクマに襲われて目の前で仲間の死を見て、1人になってずっと逃げ続けて、あげく雨にも降られたらこうもなるか。
「お客さん方、今日はどちらかへお泊りですか?」
「いや、なにも決めてないですけど」
「こんな村、宿屋もないんですよ。たまに客人をお泊めすることもあるんで、もしよければウチの2階に泊まりませんか。1部屋空いてますので」
ゴズさんは神田を伺った。
今、すべての決定権は神田が握っている。反対に、私はそんなものこれっぽっちも持ってない。小指の爪の先ほどもね。
2人で神田を見ると、小さく頷いて見せた。
「じゃあ、よろしくお願いします」
そうして通された部屋は、花柄で統一された小さな部屋だった。女子が好きそうなかわいらしい部屋は、神田とゴズさんに似合わなさすぎる。
なんて思ったら一瞬クラっとした。
おかしいな。きゃらきゃらした部屋が目に慣れないのはあるだろうけど、立ち眩み起こすほどか?教団のシンプルさに慣れすぎたの?
「店主さんから毛布をもらってきましたー。ベッドは神田さんかアリスさんでどうぞ。どうせ俺、そのベッドには入らないんで」
うん。確かに入らなさそう。背丈がちょっとありすぎるからね。
そうでなくても神田はベッドを使うつもりがないらしい。扉の横に立ったまま動くようすを見せない。それならと私はベッドの縁に腰を下ろした。
「とりあえず、人がいてよかったですねえ」
『うん』
「まあな」
「本当に誰もいないのかと思っちゃいましたよ。ずいぶん静かに暮らしているんですね、この村の人たちは」
静かに暮らしてるで片付けられるもんじゃない。この村は異様な程静かすぎる。人どころか動物までこんなに静かなんて、いくらなんでもおかしい。
「そうだな……」
それに、私の気持ち悪さも時間を追う毎に酷くなってくる。元気だと言ったばかりのこの状況で、まさか気持ち悪いんですなんて言えない。
「でもがっかりですね。命がけで調査に来たっていうのに、イノセンスはなさそうだ」
ああ、そうだ。ゴズさんは一緒にきた仲間をここに来るまでの森で失ったんだ。例え調査であっても、探索部隊にとっては命を落とす危険性をはらんだものなんだ。
きっと誰だって怖いのかもしれない。戦うと言うことは、こちらも狙われると言うことだから。だけど、探索部隊の人は狙われても逃げることしかできない。場合によってはそれすらできないかもしれない。それは、戦う術を持つ私達エクソシストにはわからない恐怖のはず。
「【帰らずの森】という奇怪現象って、イノセンスのせいではなくてあのアクマたちがこの村を訪れる人を襲っていたからでしょうか?」
それなのにこうして仕事の話を進められるのは、素直にすごいと思う。
「おそらくな」
「魔女はどうなんでしょう?」
まだ推測の域を出ないけど、たぶん魔女もアクマなんじゃないかな?
アクマのせいで人がいなくなった。だけどアクマがなんなのか人は理解できない。それなら理解できる誰かのせいにしよう。そんな感じで魔女が作られた…みたいな。童話だってそんな感じでしょう?
「どうします?イノセンスもないようですけど……」
「いや。アクマは複数いた。まだ村やこの付近に潜んでいる可能性がある。全員倒してから帰還する」
「わかりました。では、任務はイノセンスの調査からアクマ退治に変更ですね。役に立たないかもしれませんが、俺も一緒にいていいですか?」
仲間が死んで辛くないわけがないのに、ゴズさんは仕事の顔になった。
「かまわんが、足手まといにならないようにしろよ」
邪魔だと切り捨てそうな神田だけど、そうしなかったのはゴズさんの目に強い決意が見えたからかもしれない。
私はまだ死ぬかもしれない状況に自ら進んでいく事はできない。
「わあ!ありがとうございます!」
『ゴズさん、仇討ちましょう!』
「お前もだ。わかってるだろうな」
『わかってるよー』
でも私は進んでいかないといけない立場にある。
「じゃあ明日は他の村人にも話を聞いてみましょう!」
「わかったからもう少し静かにしろ」
神田に怒られたと2人で少ししょぼくれてると、下にいた店主さんから夕食のお誘いを受けた。
それを聞いた途端、ゴズさんはさっきまで顔色が悪かったのは演技かと思うくらい元気な返事をして階段を駆け降りて行った。
至近距離にいたからか、ゴズさんの声が頭に響いてくらくらする。ついでに耳も痛い。
「…お前、大丈夫か?」
『なんとか』
結構びっくりした。リナリーとやってても思うけど、音ってかなりの凶器だよね。
ゴズさんとビクビクしながら、少し慎重に村を見回してみる。
気配…なんてやっぱりよくわかんない。体調を崩したのか緊張のしすぎか気持ち悪い感じはするんだけど…て言うかさ、なんで気配なんてわかるの?忍の者なの?
「あ、神田さん、返り血を拭いたほうがいいですよ。そんな顔だと、村の人たちが怖がりますし、いくら体の内部に入らなければ大丈夫とはいえ、ずっと付着しているとアクマの血のウィルスに感染してしまう可能性がありますよ」
『へぇ…そうなんだ』
アクマのウィルス?なんだっけ。なんかヤバそうな感じは覚えてるけどよくわからん。今神田に聞いたら斬られそうだから、帰ったら誰かに聞こう。
「そんなものいらん。どうせすぐ落ちる」
ゴズさんのハンカチを断って神田が空を見上げたのと同時に、雨が降ってきた。
雨が降りそうだったからこんなに早く暗くなってたんだ。わかってたなら教えてくれてもよかったのに。
「本当に魔女の棲む村っぽいですね」
傘なんて持ってない私達は、村の真ん中を通る道をしばらく歩いてみたけど、雨と私達の足音がするだけで他の音はまったくしない。人の生活する音も、飼育しているらしい家畜の音も何ひとつとして聞こえてこない。
今更だけどさ、この村本当に村として機能してるの?
「どこか適当な家を訪ねてみましょうか?」
『そうですね…神田?』
「どうしたんですか?」
『雑貨屋さん?』
神田の視線の先には雑貨屋さん。どうやら神田はそこをを選んだらしい。
別に人がいそうならどこだっていいわけだから、神田の後ろについて木製の扉を開いた。蝶番が錆びてるのか立て付けが悪くなってるのか、如何にもそれっぽく軋みながら開いてたもんだから今にもなんか出てきそう。
「すいませーん、誰かいますか?」
探索部隊だけあって度胸のあるらしいゴズさんと神田の間から、私はこっそり店内を見回した。店内には釣竿に錆びた斧、それにいつのものかわからないような缶詰…あれ置いてて大丈夫なの?確かに缶詰は保存食ではあるけど、一応保存期限と言うものがあってだね。
「ひいっ!」
『うひっ!』
何かに驚いて飛び上がったゴズさんに驚いた。
よくよく見れば、カウンターには店主らしきじいちゃんがいた。これに驚いたのかこのデカブツは。
「ここの店主か?」
「は、はい。そうです」
「黒の教団の者だ」
その名前が如何なるものか、ここに着くまでに身を持って知りました。ここに来るとき、列車で車掌さんめっちゃへこへこしてたもん。あんな無茶言ってホントすみません。
でも、外と完全に遮断されてるこの村では通用しなかった。神田の態度と服の銀装飾から、かろうじて偉い人っぽいことは伝わったらしい。だけど、私達がなんなのかはよくわかってないと思う。
さっそく神田とゴズさんが聞き込みを始めたけど、これといった情報は出ないだろう。だってほら、足悪いみたいだし。
私はいくらなんでも3人もいらないだろうと判断して、聞き込みには参加せず強くなり始めている雨をぼんやり見ていた。
「いったいどういうことなんでしょう……」
案の定たいした情報は得られなかったらしい。
どうしたものかと考えこんだ神田に、おじいちゃんがため息をついた。私もつきたいよおじいちゃん。
「ところで、この村って他にも人がいますよね?」
「え、ええ、もちろんです」
「よかったー。村に入っても誰にも会わないし、人の気配もないから心配しちゃいましたよ」
え、ちょっと待って。ゴズさんも気配なんてわかるの?ここで普通なのって私だけ?マジで?ちょ、これヤバい。冗談抜きで足手まといになるんじゃない?!
「行くぞ。他の家も回ってみる」
『え。やだ』
これ以上の情報を得られないと判断した神田が外に向かおうとしたけど、私は咄嗟に拒否してしまった。
「わがまま言ってる場合じゃねぇだろ」
ここに来るまでずっと怖いと騒いでたからそう思われても仕方ないけど、今回はそんなわがままじゃないんです。
『そうじゃなくて、外』
神田が扉を開けたが、雨は先程より強くなり少し先すら見えない程視界が悪くなっている。いつの間にか強くなっていた雨に気付かなかったのか、神田は言葉を失ってた。
傘でもあれば家を回って話を聞くこともできただろうけど、さっき言ったように傘なんてない。薄いカーテンでもかけたようなこの状況で傘もなく家を回ったところで、話を聞くことができるかどうか…たぶんだけど、不審者と思われて話にならないだろう。
人間関係以外では完璧超人みたいな神田だけど、どうやら聞き込みしてる時は話を聞く方に集中力を使うのか、周りの状況まで察知できないらしい。ちょっと意外な発見。
「お客さん、もう夜だしこの雨だ。明日にしたらどうです?お連れさんの顔色もよくないし」
『私は普通だよ!』
教団に戻る度に、いろんな人から顔色が悪いと言われる私だけど今日は違う。咄嗟に私を見た神田に、私はもちろん全力否定。それを見たおじいちゃんは苦笑いしながら、私の隣にいたゴズさんを指差した。
それを見て納得した。気温が下がった事もあるんだろうけど、顔色は悪いし震えてるし、見るからに体調不良な感じ。アクマに襲われて目の前で仲間の死を見て、1人になってずっと逃げ続けて、あげく雨にも降られたらこうもなるか。
「お客さん方、今日はどちらかへお泊りですか?」
「いや、なにも決めてないですけど」
「こんな村、宿屋もないんですよ。たまに客人をお泊めすることもあるんで、もしよければウチの2階に泊まりませんか。1部屋空いてますので」
ゴズさんは神田を伺った。
今、すべての決定権は神田が握っている。反対に、私はそんなものこれっぽっちも持ってない。小指の爪の先ほどもね。
2人で神田を見ると、小さく頷いて見せた。
「じゃあ、よろしくお願いします」
そうして通された部屋は、花柄で統一された小さな部屋だった。女子が好きそうなかわいらしい部屋は、神田とゴズさんに似合わなさすぎる。
なんて思ったら一瞬クラっとした。
おかしいな。きゃらきゃらした部屋が目に慣れないのはあるだろうけど、立ち眩み起こすほどか?教団のシンプルさに慣れすぎたの?
「店主さんから毛布をもらってきましたー。ベッドは神田さんかアリスさんでどうぞ。どうせ俺、そのベッドには入らないんで」
うん。確かに入らなさそう。背丈がちょっとありすぎるからね。
そうでなくても神田はベッドを使うつもりがないらしい。扉の横に立ったまま動くようすを見せない。それならと私はベッドの縁に腰を下ろした。
「とりあえず、人がいてよかったですねえ」
『うん』
「まあな」
「本当に誰もいないのかと思っちゃいましたよ。ずいぶん静かに暮らしているんですね、この村の人たちは」
静かに暮らしてるで片付けられるもんじゃない。この村は異様な程静かすぎる。人どころか動物までこんなに静かなんて、いくらなんでもおかしい。
「そうだな……」
それに、私の気持ち悪さも時間を追う毎に酷くなってくる。元気だと言ったばかりのこの状況で、まさか気持ち悪いんですなんて言えない。
「でもがっかりですね。命がけで調査に来たっていうのに、イノセンスはなさそうだ」
ああ、そうだ。ゴズさんは一緒にきた仲間をここに来るまでの森で失ったんだ。例え調査であっても、探索部隊にとっては命を落とす危険性をはらんだものなんだ。
きっと誰だって怖いのかもしれない。戦うと言うことは、こちらも狙われると言うことだから。だけど、探索部隊の人は狙われても逃げることしかできない。場合によってはそれすらできないかもしれない。それは、戦う術を持つ私達エクソシストにはわからない恐怖のはず。
「【帰らずの森】という奇怪現象って、イノセンスのせいではなくてあのアクマたちがこの村を訪れる人を襲っていたからでしょうか?」
それなのにこうして仕事の話を進められるのは、素直にすごいと思う。
「おそらくな」
「魔女はどうなんでしょう?」
まだ推測の域を出ないけど、たぶん魔女もアクマなんじゃないかな?
アクマのせいで人がいなくなった。だけどアクマがなんなのか人は理解できない。それなら理解できる誰かのせいにしよう。そんな感じで魔女が作られた…みたいな。童話だってそんな感じでしょう?
「どうします?イノセンスもないようですけど……」
「いや。アクマは複数いた。まだ村やこの付近に潜んでいる可能性がある。全員倒してから帰還する」
「わかりました。では、任務はイノセンスの調査からアクマ退治に変更ですね。役に立たないかもしれませんが、俺も一緒にいていいですか?」
仲間が死んで辛くないわけがないのに、ゴズさんは仕事の顔になった。
「かまわんが、足手まといにならないようにしろよ」
邪魔だと切り捨てそうな神田だけど、そうしなかったのはゴズさんの目に強い決意が見えたからかもしれない。
私はまだ死ぬかもしれない状況に自ら進んでいく事はできない。
「わあ!ありがとうございます!」
『ゴズさん、仇討ちましょう!』
「お前もだ。わかってるだろうな」
『わかってるよー』
でも私は進んでいかないといけない立場にある。
「じゃあ明日は他の村人にも話を聞いてみましょう!」
「わかったからもう少し静かにしろ」
神田に怒られたと2人で少ししょぼくれてると、下にいた店主さんから夕食のお誘いを受けた。
それを聞いた途端、ゴズさんはさっきまで顔色が悪かったのは演技かと思うくらい元気な返事をして階段を駆け降りて行った。
至近距離にいたからか、ゴズさんの声が頭に響いてくらくらする。ついでに耳も痛い。
「…お前、大丈夫か?」
『なんとか』
結構びっくりした。リナリーとやってても思うけど、音ってかなりの凶器だよね。