「だいぶ遅くなっちゃいましたね〜」
「この嵐で汽車が遅れましたから…」
『…着いたの?』
「そうですよ。歩けますか?」
『うん…』
列車の中で寝てたにも関わらずものすごく眠い。列車もあんまり寝心地はよくないんだけど、逆に疲れた気すらするのはいただけない。
アレンが手を引いてくれなかったら、私は今頃どこまでも列車に乗って行くか、水路に落ちるかどちらかの道を歩んでいたことだろう。
「もう真夜中だなぁ…回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」
『ふぁ…コムイさんとこ行けばいいと思う…』
「そうですね、科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」
「じゃあ行ってみます。行きますよアリス」
『…ん…』
眠い…こんなことなら急がないで朝起きてから帰ればよかったなぁ。
止まらないあくびとほとんど開かない瞼と必死に戦いながら、アレンに連れられるままに進んでいた時、なにか落ちるような音がすぐ近くから聞こえた。
「え?リ、リナリー!?どうしたんですか!!」
いくらなんでもこんな夜中にお迎えなんてないとわかってる。それなのにアレンから聞こえた名前に少しだけ目を開ける、と…
『え、リナリー?まさか今落ちてきたの?なんで?ちょ、生きてるよねぇ?!』
リナリーが倒れてた。
もしかして今の音リナリーが落ちた音だったの?なんでこうなってるの?びっくりして目ぇ覚めたよ!
「も、戻ったか。アレン、アリス…」
『班長!』
「リーバーさん!?そのキズ…?何があったんですか」
「に…逃げろ…コムリンが来る…」
「は?」
『コムリン?』
なんか…いやに聞き覚えがあるんだけど…たぶん、ここ半年ちょっとくらいで。
「来たぁ」
『ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って班長なんで!!』
「えぇえ!?な、何アレ?何アレ!?」
なんか来た、なんか来たんだけど!私あれ見たことある!ちょっと見た目変わってるけどあれ知ってる!!
「くっそ、なんて足の速い奴だ…」
「発…見!リナリー・リー、アレン・ウォーカー、アリス・チカチーロ。エクソシスト3名発見」
「逃げろアレン、アリス!こいつはエクソシストを狙ってる!!」
「手術ダー!!」
『きゃー!!』
アレンはリナリーを抱えて、私と班長と探索部隊の人は全力で走る。それでもあいつは引き離されないように追いかけてくる。
恐い!前のやつより速い恐い!
「うわわわっ追ってくる!追ってくる!!リーバーさん!ワケがわかりません!!」
『もうやだー!!』
なんであいつに追われてばっかりなのー?!
「ウム、あれはだな!コムイ室長が造った万能ロボ【コムリン】つって…見ての通り暴走してる!」
いっつも暴走してんじゃん!前回のやつもだけどあいつ生まれてこの方邪魔しかしてないよ!
「何で!?」
「どうしてこうなったかと言うと…」
「終わらねェ…このまま一生終わらねェんじゃねェかな…」
「転職しようかな…」
「オレ、このまま眠れんなら一生目覚めなくていいやぁ」
「あきらめんなよ…多分終わるさ」
そんなふうに弱音をはいてるとき、リナリーがいつものようにコーヒーを運んできてくれたんだ。
それと同じくしてコムイ室長も入ってきた。コムリンを連れて…
「おーい、みんな起きてるー?見て見て!【コムリンU】でーす!!ボクの頭脳と人格を完全にコピーしたイノセンス開発専用の万能ロボットであり、あらゆる資料の解析はもちろん、対アクマ武器の修理やケアサポートも行う、まさにもうひとりのボク!これで仕事がラクになるぞー!!」
仕事詰めで俺達も限界だったんだ。
室長の言葉に楽になると思ってつい気が抜けたとき、コムリンがコーヒーを飲んだんだ。リナリーも、まさか飲むとは思ってなかったんだろう。
「それ…兄さんのコーヒー…兄さん、コムリンってコーヒー飲めるの?」
コムリンがコーヒーを飲みきるのを、すぐ隣で見てたよ。
「何言ってるんだリナリー。いくらボクにそっくりだといってもコムリンはロボットだよ?コーヒーは…飲んだの?」
「…と言うわけだ」
要するに、リナリーが運んできた室長のコーヒーを飲んだ。それだけですね。蜘蛛じゃないんだからコーヒーでとち狂わないでよ。
「(アホくさ…っ!!)」
『はっまさか前回も…』
「…同じようなもんだ」
『コムイぃい!』
なんとかコムリンを撒いてみんなで物陰に身を潜めた。
眠いのに全力疾走なんて、寝起きで全力疾走なんて、本当になんてことさせるんだあのポンコツ!
『大丈夫…?』
「そうですよ、リナリーは大丈夫なんですか?」
「コムリンの麻酔針くらって眠ってるだけだ」
『…そう』
しかもラリってリナリーになにしてんだよアレは。絶対に許さない。
「ラクになりたいなんて思ったバチかなぁ…」
「え?」
「お前達エクソシストや探索部隊は命懸けで戦場にいるってのにさ、悪いな」
楽になりたいと思うことのなにが悪いんだろう。それぞれ役目が違うだけで、みんな全力で、限界ギリギリのところで働いてる事に違いはないのに。
「おかえり」
どうして、優しい人たちの世界は酷く厳しく出来てるんだろう。
『ただいま』
「…アレン?」
「え…あっはい!」
「何だよ、もしかして任務の傷が痛むのか?」
「いえっ平気です。た、ただいま」
寝てる時、うっすら血の臭いがすると思ったんだけど、アレンやっぱり怪我してたんだ。それなのにこんなに走らされて…これは1回厳しく言わないとダメですね。
コムイさんをどうやってシメようかと考えてると、賑やかな声が聞こえてきた。
「おおーい、無事かー!!」
「班長ぉ、早くこっちへ!」
「あ、アレンとトマ、それにアリスも帰ってたの?こっち来い、早く…」
「リナリィーまだスリムかいー!?」
コムリンの手の届かない所から援護でも考えてるんだろうか。重力オーバーなのか平常時では考えられないくらい昇降機がフラフラしてる。
あとみんな頭すごいけど何があったの?なんか爆発した?
あ、誰か落ちた。
「来たぁっ!」
『ひう!』
誰かの発したコムリン襲撃の声に、反射的にイノセンスを発動しようとしたけどそれより早く科学班員が動いた。
「科学班をナメんなよぉ!!」
「壊れー!!」
…のに…
「ボクのコムリンを撃つなぁ!!」
「どわわわわっ」
『きゃあああああ!!』
例の謎の乗り物に内蔵されてた銃火器型武器が暴発…じゃない、乱射された。
「何してんだお前ら!!」
「は、反逆者がいて…」
もちろん理由はコムイさん。
もう決めた。あとで絶対シメる。
元からそこに積まれてたのかわからないけど、贄のようにぐるぐる巻きにされたコムイさんが銃火器の上を歩かされる。
そのままつるりと足を縺れさせて落ちたらいいのに…おっと口が。
そのままコムリンにおとなしくするように言ってくれればいいから。そうしたらちょっと軽めのお仕置きに留めるから。
「コムリン…アレンくんの対アクマ武器が損傷してるんだって。治してあげなさい」
そう思ったのに、コムイさんが言ったのはアレンの負傷報告。それが何を示すのかは言わずもがな。
「え」
『ちょっ、コムイさんなに言って!』
コムイさんのアホな発言を遮ろうにも全て遅すぎた。コムリンの目は怪しく光り、餌を見つけた獣の目の如くアレンを捉えた。
「損傷‥優先順位設定!アレン・ウォーカー重傷ニヨリ最優先ニ処置スベシ!!」
「わっ」
『アレン!』
「アレン!」
一瞬のことだった。
アレンはコムリンから伸びた何かに捕まってとんでもないスピードで引き寄せられていく。
「アレンを手術室へ連行ー!!」
「ぎゃあああ、何あの入口!?」
『ダメー!!絶対ダメー!!』
リナリーは班長に任せて私は何とかしてアレンを助けようとするけど、ロボの力にそう簡単に勝てるわけもなくジリジリコムリンに近付いていく。
「さあリーバー班長!コムリンがエサに喰いついてるスキにリナリーをこっちへ!!」
「あんたどこまで鬼畜なんだ!」
「手術♪手術♪とにかく手術♪」
『【とにかく手術】ってなんだよ!お前ら手術したいだけかよ!』
コムリンの中には小さいコムイが4人。楽しそうに歌いながらなにか道具をそれぞれ持っている。
それ手術に使うやつじゃないから!それでやるのは修理や!
「う…っ」
『テメーみたいなポンコツにアレンを任せられるか!』
「この嵐で汽車が遅れましたから…」
『…着いたの?』
「そうですよ。歩けますか?」
『うん…』
列車の中で寝てたにも関わらずものすごく眠い。列車もあんまり寝心地はよくないんだけど、逆に疲れた気すらするのはいただけない。
アレンが手を引いてくれなかったら、私は今頃どこまでも列車に乗って行くか、水路に落ちるかどちらかの道を歩んでいたことだろう。
「もう真夜中だなぁ…回収したイノセンスはどうしたらいいのかな」
『ふぁ…コムイさんとこ行けばいいと思う…』
「そうですね、科学班の方なら誰か起きてらっしゃると思いますよ」
「じゃあ行ってみます。行きますよアリス」
『…ん…』
眠い…こんなことなら急がないで朝起きてから帰ればよかったなぁ。
止まらないあくびとほとんど開かない瞼と必死に戦いながら、アレンに連れられるままに進んでいた時、なにか落ちるような音がすぐ近くから聞こえた。
「え?リ、リナリー!?どうしたんですか!!」
いくらなんでもこんな夜中にお迎えなんてないとわかってる。それなのにアレンから聞こえた名前に少しだけ目を開ける、と…
『え、リナリー?まさか今落ちてきたの?なんで?ちょ、生きてるよねぇ?!』
リナリーが倒れてた。
もしかして今の音リナリーが落ちた音だったの?なんでこうなってるの?びっくりして目ぇ覚めたよ!
「も、戻ったか。アレン、アリス…」
『班長!』
「リーバーさん!?そのキズ…?何があったんですか」
「に…逃げろ…コムリンが来る…」
「は?」
『コムリン?』
なんか…いやに聞き覚えがあるんだけど…たぶん、ここ半年ちょっとくらいで。
「来たぁ」
『ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って班長なんで!!』
「えぇえ!?な、何アレ?何アレ!?」
なんか来た、なんか来たんだけど!私あれ見たことある!ちょっと見た目変わってるけどあれ知ってる!!
「くっそ、なんて足の速い奴だ…」
「発…見!リナリー・リー、アレン・ウォーカー、アリス・チカチーロ。エクソシスト3名発見」
「逃げろアレン、アリス!こいつはエクソシストを狙ってる!!」
「手術ダー!!」
『きゃー!!』
アレンはリナリーを抱えて、私と班長と探索部隊の人は全力で走る。それでもあいつは引き離されないように追いかけてくる。
恐い!前のやつより速い恐い!
「うわわわっ追ってくる!追ってくる!!リーバーさん!ワケがわかりません!!」
『もうやだー!!』
なんであいつに追われてばっかりなのー?!
「ウム、あれはだな!コムイ室長が造った万能ロボ【コムリン】つって…見ての通り暴走してる!」
いっつも暴走してんじゃん!前回のやつもだけどあいつ生まれてこの方邪魔しかしてないよ!
「何で!?」
「どうしてこうなったかと言うと…」
「終わらねェ…このまま一生終わらねェんじゃねェかな…」
「転職しようかな…」
「オレ、このまま眠れんなら一生目覚めなくていいやぁ」
「あきらめんなよ…多分終わるさ」
そんなふうに弱音をはいてるとき、リナリーがいつものようにコーヒーを運んできてくれたんだ。
それと同じくしてコムイ室長も入ってきた。コムリンを連れて…
「おーい、みんな起きてるー?見て見て!【コムリンU】でーす!!ボクの頭脳と人格を完全にコピーしたイノセンス開発専用の万能ロボットであり、あらゆる資料の解析はもちろん、対アクマ武器の修理やケアサポートも行う、まさにもうひとりのボク!これで仕事がラクになるぞー!!」
仕事詰めで俺達も限界だったんだ。
室長の言葉に楽になると思ってつい気が抜けたとき、コムリンがコーヒーを飲んだんだ。リナリーも、まさか飲むとは思ってなかったんだろう。
「それ…兄さんのコーヒー…兄さん、コムリンってコーヒー飲めるの?」
コムリンがコーヒーを飲みきるのを、すぐ隣で見てたよ。
「何言ってるんだリナリー。いくらボクにそっくりだといってもコムリンはロボットだよ?コーヒーは…飲んだの?」
「…と言うわけだ」
要するに、リナリーが運んできた室長のコーヒーを飲んだ。それだけですね。蜘蛛じゃないんだからコーヒーでとち狂わないでよ。
「(アホくさ…っ!!)」
『はっまさか前回も…』
「…同じようなもんだ」
『コムイぃい!』
なんとかコムリンを撒いてみんなで物陰に身を潜めた。
眠いのに全力疾走なんて、寝起きで全力疾走なんて、本当になんてことさせるんだあのポンコツ!
『大丈夫…?』
「そうですよ、リナリーは大丈夫なんですか?」
「コムリンの麻酔針くらって眠ってるだけだ」
『…そう』
しかもラリってリナリーになにしてんだよアレは。絶対に許さない。
「ラクになりたいなんて思ったバチかなぁ…」
「え?」
「お前達エクソシストや探索部隊は命懸けで戦場にいるってのにさ、悪いな」
楽になりたいと思うことのなにが悪いんだろう。それぞれ役目が違うだけで、みんな全力で、限界ギリギリのところで働いてる事に違いはないのに。
「おかえり」
どうして、優しい人たちの世界は酷く厳しく出来てるんだろう。
『ただいま』
「…アレン?」
「え…あっはい!」
「何だよ、もしかして任務の傷が痛むのか?」
「いえっ平気です。た、ただいま」
寝てる時、うっすら血の臭いがすると思ったんだけど、アレンやっぱり怪我してたんだ。それなのにこんなに走らされて…これは1回厳しく言わないとダメですね。
コムイさんをどうやってシメようかと考えてると、賑やかな声が聞こえてきた。
「おおーい、無事かー!!」
「班長ぉ、早くこっちへ!」
「あ、アレンとトマ、それにアリスも帰ってたの?こっち来い、早く…」
「リナリィーまだスリムかいー!?」
コムリンの手の届かない所から援護でも考えてるんだろうか。重力オーバーなのか平常時では考えられないくらい昇降機がフラフラしてる。
あとみんな頭すごいけど何があったの?なんか爆発した?
あ、誰か落ちた。
「来たぁっ!」
『ひう!』
誰かの発したコムリン襲撃の声に、反射的にイノセンスを発動しようとしたけどそれより早く科学班員が動いた。
「科学班をナメんなよぉ!!」
「壊れー!!」
…のに…
「ボクのコムリンを撃つなぁ!!」
「どわわわわっ」
『きゃあああああ!!』
例の謎の乗り物に内蔵されてた銃火器型武器が暴発…じゃない、乱射された。
「何してんだお前ら!!」
「は、反逆者がいて…」
もちろん理由はコムイさん。
もう決めた。あとで絶対シメる。
元からそこに積まれてたのかわからないけど、贄のようにぐるぐる巻きにされたコムイさんが銃火器の上を歩かされる。
そのままつるりと足を縺れさせて落ちたらいいのに…おっと口が。
そのままコムリンにおとなしくするように言ってくれればいいから。そうしたらちょっと軽めのお仕置きに留めるから。
「コムリン…アレンくんの対アクマ武器が損傷してるんだって。治してあげなさい」
そう思ったのに、コムイさんが言ったのはアレンの負傷報告。それが何を示すのかは言わずもがな。
「え」
『ちょっ、コムイさんなに言って!』
コムイさんのアホな発言を遮ろうにも全て遅すぎた。コムリンの目は怪しく光り、餌を見つけた獣の目の如くアレンを捉えた。
「損傷‥優先順位設定!アレン・ウォーカー重傷ニヨリ最優先ニ処置スベシ!!」
「わっ」
『アレン!』
「アレン!」
一瞬のことだった。
アレンはコムリンから伸びた何かに捕まってとんでもないスピードで引き寄せられていく。
「アレンを手術室へ連行ー!!」
「ぎゃあああ、何あの入口!?」
『ダメー!!絶対ダメー!!』
リナリーは班長に任せて私は何とかしてアレンを助けようとするけど、ロボの力にそう簡単に勝てるわけもなくジリジリコムリンに近付いていく。
「さあリーバー班長!コムリンがエサに喰いついてるスキにリナリーをこっちへ!!」
「あんたどこまで鬼畜なんだ!」
「手術♪手術♪とにかく手術♪」
『【とにかく手術】ってなんだよ!お前ら手術したいだけかよ!』
コムリンの中には小さいコムイが4人。楽しそうに歌いながらなにか道具をそれぞれ持っている。
それ手術に使うやつじゃないから!それでやるのは修理や!
「う…っ」
『テメーみたいなポンコツにアレンを任せられるか!』