「これ、俺の携帯に送ってもいいか?」
「うん。宍戸くんに宛てたものみたいだし」
携帯のロックナンバーは、昊罹ちゃんにしては珍しく恋愛小説の裏表紙の中に小さく書かれとった。
以外と簡単な番号で、なんや盲点をつかれた気分やわ。難しく考えすぎたんかな。
メールを読んだ宍戸は今にも泣きそうな顔をしとった。本人は気付いとらんと思うけどな。
送ることそのものは手間やないからすぐ済んだんやけど、宍戸はどっかぼんやりしとった。
「…悪い忍足」
「帰るんか?」
「あぁ」
「そか。気いつけや」
「おう…またな」
「うん、また」
宍戸は、一度も昊罹ちゃんの名前呼ばんかった。やっぱりショックやったんやな…それもそうか。好きな女に忘れられて平気でいれるわけないわな。
「宍戸くん…なんかあったのかなぁ」
「このあとどっか行くって言うとったからな。そない気にせんでもええよ」
「…そっか」
ちょい無理があったか?昊罹ちゃんが納得さえしてくれたら俺はなんでもええけど。
「忍足くんは、なにかお話があるの?」