あぁ、やっぱり降り出した。
降り始めた雨から逃げるように、小児院の子たちが走って病棟に戻るのが見える。
「気になるん?」
「あ、ごめんなさい。雨降りだしたし、宍戸くん大丈夫かなぁって思って」
「傘なんて持ってへんかったしなぁ…ま、大丈夫やろ」
「ならいいんだけど」
なんだろう。なんかひっかかるんだよね。ご飯食べたけど喉に残ってるみたいな…
「風邪、ひかなければいいんだけど」
「心配?」
「…なのかな?」
「螺々空さん?」
「はい」
「食事の時間ですよ」
「なんや、もうそないな時間か。ほなぼちぼち帰るわ」
「あ…うん、また」
「その前に。またここに来てもええ?」
「…うんっもちろん」
忍足くんが出ていったドアをぼんやり眺めていたらしく、看護婦さんに「彼氏?」なんて聞かれてしまった。
彼氏…あたしなんかにいたのかな?
あたしなんかよりかわいい子は他にたくさんいるから、いなかったんじゃないかな?
「じゃあまたあとで下げにきますからね」
「ありがとうございます」
看護婦さんが戻る準備をしてるとき、ドアが音をたてた。
「どーぞー」
今日は忙しいな。
嫌だなとは少しも思ってないけど。
「いらっしゃい。どちらさまですか?」