…昊罹のやつ…マジで寝やがった。機嫌悪いんじゃないかと思ってたけど、マジで眠かったんだな。
「聞いた?」
「聞いた聞いた。なんか意外だよねー」
寝てる昊罹を尻目に、たいしておもしろくもない本を仕方なく読んでると、囁くように、それでも隠しきれない声が耳に入った。
「だって金曜日までは普通だったもんね」
「いっそ羨ましいくらい?」
「そうそう。それがどうしてだろう」
「なぁ、それ詳しく聞かせてくんね?」
なんとなく、この会話は今の俺に必要だと思った。さっきの違和感の原因がわかるんじゃないかと直感が告げた。
「向日君知らないの?」
「もう知ってるのかと思ってた…だって…」
「ちょっと、まずいんじゃない?言ってないってことは、ガセかも知れないし…」
噂好きな割になかなか煮え切らねえ…でも今日は絶対聞きたいんだよ。だからさっさといってもらうぜ。
「俺は今、あんた達から聞きたいんだよね」
「ぁう…」
「ど、する?」
「大丈夫だよねぇ」
「あのね、昊罹ちゃんがこの間宍戸くんと別れたって噂なんだけど…」
「もちろんただの噂って可能性もあるけどねっ」
あぁ。それで朝から二人して変だったのか。
いや、変だったのはもっぱら宍戸で昊罹は全然普通だったな。まぁ眠いって言ってすぐに寝たけど。
「たぶん、二人を妬んだ人が流した噂だと思うよ?あの二人が別れるなんて…」
「あるかもなぁ」
「え?」
「だって、あんなに仲良かったのに…?」
周りには確かにそう見えてたんだろうな。実際喧嘩なんかしてるのは一度も見たことなかったし。だからってこともあるんじゃないかなと、俺は思う。
「サンキュな」
「ううん。こんな話でよかったなら…」
さて。あいつらに一体なにがあったんだろうな。