落としたのはガラスの靴。
    [NoSide] 

    「昊罹」
    「どうだった?」
    「別に自宅療養でもいいんですって。ただ前例がないからいろいろ検査も兼ねて入院してたんだけど、体調も変化ないみたいだから」
    「じゃあ出られる?」
    「でも家よ?宍戸くん達来るかも知れないわよ?」
    「ならどっか遠い所行きたい。田舎みたいな、誰にも会わないところ」
    「…おばあちゃんに聞いてみるわね。大丈夫だと思うけど」
    「お願い」
    「それにしても、突然どうしたの?みんなに会いたくないなんて」
    「…なんでも」
    「そう」
    「ごめんなさい」
    「なにが?」
    「迷惑かけた」
    「そんなこと気にしないの」
    「でも」
    「手続きが終われば明日にでも帰れるみたいだから、今からでも荷物まとめておきなさい」
    「うん…ありがとう」
    「本当なにがあったの?」
    「…言わなきゃだめ?」
    「そうじゃないけど…理由くらいあるでしょ?」
    「まぁ」
    「ケンカでもしたの?」
    「……」
    「どうせあなたが勝手に悩んで勝手にきめたんでしょ」
    「そ!…うだけど…」
    「もっと周りに頼りなさい。宍戸くんだって気にしてくれてたんだから」
    「…そうなの?」
    「そうよ。あんないいこ、なかなかいないわよ?」
    「へぇ…」
    「…あんなに仲が良かったのに…」
    「なに?」
    「独り言」
    「なにそれ」
    「昊罹は独り言なんて言わないものね」
    「そうかも」
    「ほら、荷物まとめるわよ」
    「ひとりでできるって」
    「そういってここに来るとき出来なかったじゃない」
    「えー…じゃあ手伝って」