砕けたのは石橋。
    [Side:R.Shishido] 

    「宍戸さん!」
    「長太郎…」

    昊罹のところに行くとうっかりこぼしたら、長太郎も行くといいだしたから、せっかくだしつれていくことにした。
    つーか教室まで来なくても下駄箱にいれば良かったんじゃね?長太郎がこっち通ったら遠回りになるし。

    「俺がそっちに行ったのに」
    「そんな!宍戸さんに悪いですよっ」
    「まぁ来ちまったもんはしゃあねえな…行くか?」
    「はいっ」
    「宍戸!長太郎!」

    バッグを肩にかけ直したとき、岳人に見つかった。
    見つかったからどうなんだってこともねぇけど。

    「二人でどこ行くんだよ!」
    「あ?岳人か」
    「螺々空先輩に会いに行くんですっ」
    「なるほど」
    「岳人も来るか?」
    「…いや、いいや。今日はゲームする約束してるから」
    「弟か?」
    「あぁ。悪いな」
    「なにがだよ」
    「引き止めて?ま、昊罹によろしくな」
    「おう」

    相変わらず跳ねてるな。

    「宍戸さん」
    「…行くか」
    「はい」

    病院に着くまでは、楽しみだったんだ。
    何を話そうとか長太郎と話して、明日や来年なんて考えないで今日のことばっかりだった。

    だって、どんなに頑張っても、今の昊罹には今日しかねえから。

    「螺々空さんの面会に来たんですけど」
    「螺々空さんでしたら退院されましたよ」
    「…は?」
    「昨日退院されてます」

    なんだそれ。

    「…お知り合いで?」
    「あら。あなたたち、昊罹ちゃんのお友達よね?」
    「え?はい…」
    「私昊罹ちゃんの担当だったのよ。代わるわ」
    「お願いね」
    「今日はどうしたの?」
    「この間、水曜にもう一度来るって言ったので…」
    「来てみたらいなかった、と」
    「はい」

    水曜に来るって言ったじゃねぇか。
    手帳にもちゃんと書いてたじゃねぇか。
    なんでいねぇんだよ…

    「詳しくは私にもわからないけど、なんだか急いでたみたいよ?急に退院が決まって、そのまますぐ」
    「そうですか…」

    なんだよそれ。

    「長太郎、帰るぞ」
    「あ。宍戸さん?!すみません、ありがとうございました」
    「気をつけて帰ってねっ」
    「ありがとうございます!」

    なに考えてんだよ昊罹。お前の考えてることがぜんぜんわかんねぇよ。

    「宍戸さん、螺々空先輩の家に行ってみませんか?退院したなら家に帰ってる思いますし」
    「…そうだな」